狼の森その2

 この森は藪が深い箇所が多々あり、人が通れる道というのが限定されてしまうようである。
 特に体力に不安のあるテアやウィルバーを気遣い、野伏の経験を持つ悪魔は、神経を研ぎ澄ませて斥候役を務めた。
 途中、一際大きな体躯を持ちながら、何となく動きの鈍い狼を仕留めたパーティは、あまりの藪の深さにとうとう一方向にしか進めなくなってきた。
 ある地点で足を止めたアンジェが仲間を振り返る。
 耳のいい彼女は、誰より先に獣の息遣いらしきものを聞き取ったのである。

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狼の森その1

「ちょっと使いすぎちゃったわね……」
「それだけ色々と買い揃える必要があったんですよ。アンジェやあなたの習得した技術も、テアの新しい歌も、決して無駄にはならないでしょうから」
「それは分かってるんだけど、やっぱり私のは後回しにしても良かったかなって」

 ハーブティを片手にパーティの出納帳を書いて計算しているウィルバーの横で、頬杖をついたシシリーが反省しているようにため息をついた。
 近所の依頼の後に、他の街や色んな店を見て回ったついでに、ちょっとした依頼も受けて稼ぐには稼いだのだが、それ以上に支出も多かった。
 何しろ残額が銀貨300枚である。
 そろそろ手軽に行って帰ってこれる仕事を探さないといけないわね、とリーダーが考えていると、違うテーブルでテアが捲っていた依頼書の束をふと止めた。

狼の森

「おや、狼退治かえ?」
「ん、狼?」

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