Sat.

迷宮のアポクリファその6  

 『虹の間』にあったプリズムの謎を解明し、その場にあったガラス瓶へプリズムの光を落としこんで絵の具と化すと、冒険者たちは今までスルーしてきた絵画のあった部屋へ移動し絵具を使おうとしていたのだが、その道中で襲われかなり消耗していた。

「まったく……あの天使みたいなの、なんだったんだろ?」
「変な生き物だっただよな。ひらひら俺の攻撃を避けやがって」
「落ち着いて、ロンド。……いよいよ、最後の絵の具よ」
「じゃああたしがやるよ。みんな、周り警戒しててね」

 シシリーに抱えられたアンジェは、赤色の絵具を檻の男に貰った筆に馴染ませ、彼の檻の下にあった褪せた絵画にそっと下ろす。

「………!?」

 たちまち絵が美しい赤に染まる。

アポクリファ11

 地平から昇る赤い輝きが空をいっそう美しく見せている、夜明けを描いた絵が復元され――同時に、遠くの方で何か巨大なものが動くような音がした。
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2016/03/12 12:08 [edit]

category: 迷宮のアポクリファ

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Sat.

迷宮のアポクリファその5  


 檻の中の男が崩れ去る際に託された絵筆――男は画家だったらしい――を懐にしまったシシリーは、彼が迷わず天へ迎え入れてもらえるよう祈った後、搭の探索の続きを仲間たちに促した。
 女司祭が魔神であるという情報も手に入った今、最低限の仕事はここで済ませたはずだ。
 搭を脱出する手段を、考えておかねばならない。

「脱出に関係ありそうなのは塔の部屋の絵――だけど…」
「あのプリズムも関係ありそうじゃのう」
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2016/03/12 12:03 [edit]

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Sat.

迷宮のアポクリファその4  

 この搭の部屋をいくつか探索していて、わかったことがある。
 搭の主要らしい部屋には、すっかり色の褪せてしまった絵が飾られており、石版に刻まれている部屋の名前はその絵のタイトルから取っているらしいということだ。
 回廊は夜のしじまに守られているように静かで、細長く優美なアーチを描く窓から見えるのは、相変わらず外の世界に満ちているらしい霧であった。
 そんな薄暗い空間を切り裂くように、次の部屋はぼんやりとした光に満ちていた。
 辺りを見回すと、高い天井のてっぺんがガラス張りになっており、そこから空の光が柔らかく差し込んでいるらしい。
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2016/03/12 12:00 [edit]

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Sat.

迷宮のアポクリファその3  

 シシリーは昨夜、ほとんど眠らずに屋根裏部屋に残されたままの”経典”の翻訳メモを、自分なりにまとめて写しを作ってみていた。
 翻訳の作業というのは魚人語でやってみたことがあったものの、本来は専門外であり、焦燥感や募る不安によって苦痛にも感じられたが、仲間たちの集うテーブルに翻訳メモを広げた時には、常とはまったく別の種類の達成感を味わった。

「……ん?姉ちゃん、これは?」
「みんなに、相談したいことがあるの」

 リーダー役を務めている少女は、昨日までの出来事をつぶさに話した。

「じゃ、これが経典の一部ってこと?」
「確かに、何か危険な感じがするな」
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2016/03/12 11:56 [edit]

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Sat.

迷宮のアポクリファその2  

 翌日もまた雨だった。
 午後から降り続いた雨が止まず、シシリーはこの分だとまた仕事をせず宿に足止めになるだろうか、と考えていた。
 彼女の目の前には、それぞれ朝食を摂ったり窓の外の天気を伺ったりしている。
 だが、その中にはまたもやウィルバーの姿はなかった。

「今日も、これという仕事はないのう……」
「あれからいい依頼は結局なしなのね」
「うむ。そうなのじゃ…」
「そういえば、きのうおっちゃんは仕事を探しに行ったの?」
「いえ、違うわ。たぶん――」
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2016/03/12 11:54 [edit]

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