祭りの後にその1
その日、旗を掲げる爪は先日のハロウィンではしゃぎすぎたのか、少し寝過ごしてしまった。
慌てて起きてみれば、思ったとおり宿の亭主はやや不機嫌になっていた。
ふわ、と欠伸を隠し切れないままアンジェが挨拶する。
「ん~……おはよう、親父さん……」
「今頃起きてきたのか。ハロウィンも終わったんだ。そろそろ祭り気分もぬいておけよ」
そんな言葉を冒険者たちにかけ、亭主は昨日の余りもので作った食事を卓へ並べていった。
南瓜で作ったケーキ、色とりどりのアイシングクッキー。
温め直しのレモネードと、スパイス入りのホットアップルジュース。
甘いものばかりかと思えば、スペアリブをタレに漬け込んで焼いたものや、蒸した野菜に塩とチーズをかけたものも出てきた。
肉といえば宴会で残らないはずなのだが、翌朝のためにと亭主が別にしておいてくれたらしい。
それらを全て平らげると、
「食べた皿は頂きますね」
と言って、給仕の娘さんが手際よく片付けていく。
なんとこの娘さん、実はフェンサーとして通用するほどに細剣の扱いに手慣れている……らしい。
そのせいなのか、食器を盆に乗せて下がっていく動きが、非常にきびきびしている。
彼女はいったん厨房に引っ込んだかと思うと、再びこちらへやってきた。
「あ、そうそう。これ、デザート代わりにどうぞ」

と差し出してくる。
慌てて起きてみれば、思ったとおり宿の亭主はやや不機嫌になっていた。
ふわ、と欠伸を隠し切れないままアンジェが挨拶する。
「ん~……おはよう、親父さん……」
「今頃起きてきたのか。ハロウィンも終わったんだ。そろそろ祭り気分もぬいておけよ」
そんな言葉を冒険者たちにかけ、亭主は昨日の余りもので作った食事を卓へ並べていった。
南瓜で作ったケーキ、色とりどりのアイシングクッキー。
温め直しのレモネードと、スパイス入りのホットアップルジュース。
甘いものばかりかと思えば、スペアリブをタレに漬け込んで焼いたものや、蒸した野菜に塩とチーズをかけたものも出てきた。
肉といえば宴会で残らないはずなのだが、翌朝のためにと亭主が別にしておいてくれたらしい。
それらを全て平らげると、
「食べた皿は頂きますね」
と言って、給仕の娘さんが手際よく片付けていく。
なんとこの娘さん、実はフェンサーとして通用するほどに細剣の扱いに手慣れている……らしい。
そのせいなのか、食器を盆に乗せて下がっていく動きが、非常にきびきびしている。
彼女はいったん厨房に引っ込んだかと思うと、再びこちらへやってきた。
「あ、そうそう。これ、デザート代わりにどうぞ」

と差し出してくる。