Wed.

護衛求む 5  

「・・・・・・・・・来る!」

 ギルの叫びと、森の精霊たちが襲い掛かったのはほとんど同時だった。
 自分への攻撃と、ローンへの攻撃を同時に庇ったギルが体力を半分以上削られるが、上手く詠唱を繋いだジーニが、植物モンスターの苦手な【火炎の壁】の魔法を繰り出す。
 敵の数が多いと瞬時にとって見たアレクは、武闘都市エランで覚えたばかりの【飛礫の斧】という技を二回使い、四方から襲いかかる雑魚の掃討をした。
 ミナスは精霊語で雪精に呼びかけるが、エントの有様に心を痛めているためか、上手く呪文に集中できない。
 補助魔法もないまま、不利な条件で彼らは戦ったのだが、ギリギリでアウロラが放った【光のつぶて】が、炎の攻撃で弱っていたエントに止めを刺した。

ScreenShot_20120920_060846890.png

「グッ・・・・・・」
「ごめん・・・エント、こんなやり方しか出来なくて、ごめん・・・」

 泣きじゃくるミナスの頭を抱え込むように撫でたアレクが、ぽつりと呟く。

「・・・精霊・・・」

 昔、精霊剣士として名を馳せていた父がここにいたら、自分とは違う結末を彼らに与えられただろうか、とアレクは考え込んだ。
 父と同じ道を歩むつもりは毛頭なく、今まで魔法剣のみを習い覚えていたアレクだったが、初めて父と同じ道に興味を覚えた。
 
「野盗・・・いや、我々人間の行いにずっと怒りを抱いていたんですね・・・」

 哀しげに聖北の印を切るアウロラの横で、ローン氏が放心したように言った。

「・・・すいません。私達はもっと・・・考えなければならないのですね・・・」

 その時、木々が揺れた。ローン氏の言葉に呼応するかのように。
 ローン氏が、野盗の骸をどうするか一行に聞いてきた。

「埋葬してやろうぜ・・・」

 そう答えたリーダーに否やを唱えるメンバーは、いなかった。

 数時間後、彼らの姿は無事、リューン市内へと移っていた。
 ローン氏が一行の苦労を労う。

「みなさん、今回は本当にご苦労様でした」
「いえいえ、ローンさんも疲れたでしょう」
「そうですね・・・。ですが、みなさんのおかげで無事に帰ってこられました」

 頭に巻いた白い布に手を当てつつ、ローン氏は続ける。

「もし護衛してくれたのがみなさんでなかったら、私は今ごろ、ここにいなかったかもしれません・・・本当にありがとうございました」
「いや、そんな・・・改まって言われると、照れちゃうじゃない」

 上品ぶって口に手を当てて笑うジーニに、仲間が苦笑する。
 そんな彼らと同じ表情をしていたローン氏が、姿勢を正して一同に言った。

「では、そろそろお別れですね。こちらが約束の報酬です」
「あれ?多いわよ?」
「・・・感謝の気持ちですよ」

 本当にいいのかという面持ちになったジーニの背中を、エディンが軽く叩いてローン氏に頭を下げた。

「分かりました。ではありがたくもらっておきますね」
「・・・よかったら、また護衛を引き受けていただけますか?」
「ええ、いつでも張り紙を出して下さい」
「お願いします。それでは・・・・・・」

 これまでずっと同じ道を歩んできた行商人が、リューンの雑踏の中に消えたのを見届けて、アレクが言う。

「・・・俺達も帰るか」
「そうね・・・」

 うーん、と髑髏のついた杖を持ったまま伸びをしたジーニが、颯爽と宿の方へと歩き出すのに、慌ててミナスとアウロラがついていく。
 その様子を後ろから眺めながら、ギル、アレク、エディンも、子どものように互いを小突きながら歩き出すのだった。

※収入500sp+1500sp(護衛求む+要港都市ベルサレッジ)※

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■後書きまたは言い訳
7回目のお仕事は、寝る前サクッとカードワースフォルダから、がじろーさんの護衛求むのシナリオです。
隣町までの行商人の護衛という、ともすればありがちな依頼になりかねない仕事を、「隠者の庵」キーコードに反応するようにしたり、森の中に様々な罠を作ったりして飽きさせない手腕は、さすがカードワース内の大ベテランさんだなあと、始終感心させられました。

今回のひそかなお気に入りは、ぷちっと切れたアウロラと、精霊使いとしてのプライドを見せたミナスだったりします。

アウロラは、怒らせると一番怖い人。ドンドン毒舌の鋭くなるジーニと違って、冷静にぷつっと切れるので余計怖い。
ミナスは、いつもは戦闘で攻撃に支援にと縦横に活躍してくれるのですが、このシナリオでの戦闘ではまるで良いところがなく、きっとエントの姿に動揺したに違いない、と私は考えました。
当然、シナリオにこちらの勝手な設定が入ってくるわけではないのですが、ゲーム上の偶然でこちらの思惑に当てはまった瞬間というのは、リプレイ書きにとって何より嬉しい物だと思います。

当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。


2012/11/07 03:22 [edit]

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Wed.

護衛求む 4  

 2日目。
 朝食を宿で片付け、さっそく出発した一行だったが、その目は昨日以上に鋭く辺りを睥睨していた。
 あの盗賊の首領が只者ではないだろうとは、昨夜の雑談の時に話が出ている。
 慎重に進むしかなかった。
 
 昨日と同じ射撃の罠、と思いきや爆弾と二重の罠だったり、ウィードの群れに行く手を遮られたりしながらも、一行は小川の休憩地点へと進んでいった。

「ひどいことするなあ・・・動物の居ない森になったら、どうするんだよ」

 エルフ族であるミナスにとって、森は友達に等しい。爆弾の罠も、どうしても外せないから爆発させると言うエディンに、最後までどうにかできないのかと食い下がったのは彼である。
 こんな風に森を傷つける野盗に、怒りがおさまらないのは当然だった。
 悔し涙を浮かべるミナスをアウロラが宥めるも、腹が立っているのは彼女も同じだった。
 やりきれない気持ちを抱えつつも、一行は倒れこむように小川まで辿り着いた。

「とりあえず、少しでも長く休もうぜ・・・・・・」

 白皙の頬についた傷から血を滲ませながら、アレクは仲間に提案した。
 どっかりと腰を下ろし、武器の具合を確かめ始める。
 その様子を眺めたギルも、背中合わせにアレクと同じ岩に座り込み、自分のブーツの紐を結び直し出した。
 他の者も、思い思いに休み始める。
 そしてどうにか、完全とは言えずとも、一行は体力を回復した。

「・・・・・・ふう。生き返ったぜ」
「・・・お疲れ」

 思わず呟いたエディンの肩を、がっしりとしたギルの手が叩いた。
 
「おいおい、よせよ。まだ終わってないんだぜ」

 苦笑したエディンが、続けて「気を引き締めて・・・」と言おうとすると、恐怖と苦痛に満ちた叫び声が森の奥から上がった。

「な、何!?」

 珍しく動揺しきったジーニの隣で、耳を澄ませていたエディンはある方向を指差した。

「そんなに遠くないぞ!あの声は・・・まさか!」
「待って下さい!罠かも・・・!」
「いや・・・それはない。あれは・・・演技じゃない!」

 全員が、ギルのほうを見た。

「・・・行くぞ!」

 そして走り出した一行を出迎えたのは、あの野盗の首領と・・・それを抱きかかえるようにした、エントの姿だった。
 エントがゆっくり力を込めると、べきべきと骨の砕ける嫌な音が響いた。

「・・・・・・!」

 ミナスが嫌悪感に顔を歪めつつも、周りを見渡す。
 辺りには、野盗の仲間が転がっていた。すでにピクリとも動きを見せる様子はない。
 やがて、体中の骨が砕けた首領を、エントが飽きた人形を捨てるように投げた。

「がはっ!!」
「マダ居タカ、人間メ・・・・・・」

 他の仲間が驚き、立ちすくむ中、ミナスの小さな体が前に進んだ。
 彼は精一杯の声を張り上げて、精霊語で呼びかける。

「エント、森の精霊よ。君達の怒りは、僕にはよく分かる・・・。でも、こんなことしちゃいけないんだ!君たちまで血に汚れちゃダメなんだよ!」
「傲慢ナ人間ドモメ・・・我ラ精霊ハコレ以上、オ前達ノフルマイヲ許スワケニハイカナイ・・・」
「エント、お願い僕の話を聞いて!」
「無駄だ、下がれミナス!」

 アレクがミナスの肩を掴んで、後方へと押しやる。ギルが依頼人に向かって叫んだ。

「ローンさん、俺から離れないで!」
「は、はい!」

2012/11/07 03:20 [edit]

category: 護衛求む

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Wed.

護衛求む 3  

 やがて、出来るだけ声を落として、エディンは仲間達やローン氏へ言った。

(落ち着いて聞いてくれ・・・・・・尾行されている。)
(・・・・・・え?)

 濃藍の目を瞠ったのはミナスだ。その横で、依頼主のローンは声も出ない様子でびっくりしている。
 落ち着いた歩き方のまま、アレクはエディンに問うた。

(・・・一体、どこに・・・?)
(右前方の茂みの中・・・わずかに気配がある。おそらく野盗だろう。数は・・・・・・分からない。)
(どうして襲ってこないんだ?)

 気の短いギルが囁く。

(仲間を待っているか、隙を伺っているのか・・・・・・。それとも何か策があるのか。)

 歩きながら、一行は考えを巡らせて行く。

(・・・・・・どうするの?)

 不適に微笑んだジーニが言った。もしアレクが火事を警戒して止めていなければ、この高慢な女性は、躊躇いもせず火炎の術を使っていただろう。

(まだ距離がある。馬車を置き去りにして先制攻撃をかけるのは不可能だな・・・・・・。このまま気づいていないフリをして行こう・・・。)

 消極的な案に、ギルやジーニは不満そうだったが、アウロラが睨むと渋々頷いた。
 歩き続けた一行の視界左手に、大きな沼が入った。
 森の切れ目も近いらしく、それほど遠くない位置に建物らしきものも見られる。

「もうすぐだね・・・」
「ええ、あとひと頑張りです」

 ミナスの緊張した呟きに、わざと陽気にローン氏が応じる。
 何もなければ・・・と願う一行をあざ笑うように、先頭を歩いていたエディンが足を止めた。

「・・・・・・・・・これは!」
「この地面って・・・・・・」

 エディンと、目聡いジーニが見つけたのは、かなり大掛かりな落とし穴だった。
 驚く依頼人に、エディンが野盗の狙いは多分これだったのだろう、と説明する。
 腰のダガーに手をやりながら、エディンが仲間を見渡す。

「・・・・・・さて、ここでケリをつけるか。幸い、後ろは沼地だ。馬車と奴らの間に立てば、後ろは気にせず戦えるだろ」
「・・・・・・なるほどね」

 その言葉に頷いたジーニが、さり気なく杖を利き手に持ち替えた。
 そして一行は、沼と馬車を背負うように隊列を組み直す。
 ミナスは遠距離攻撃よる先制を提案したが、敵の場所がはっきり分からないとまず成功しない、とエディンが嗜めた。

「敵の居場所が分かれば・・・」
「あら、エディン。あれをお忘れ?」

 にやりと笑ったジーニが懐から取り出したのは、青く輝くオーブ―――”生命の瞳”だった。
 これは生命オーラを視認できるマジックアイテムなのだ。
 彼女のやろうとしていることを理解したエディンが、陽気にぱちりと指を鳴らした。

「そいつがあったか!」
「後はお任せあれ、ってね・・・」

(1・・・2・・・3・・・4人ね。人数はこちらの方が多い。先手を取れば、かなり有利な状況を築けるわね・・・)

 続けざまに、ジーニは呪文を唱えて印を組むと、杖から魔法の矢を飛ばしてオーラを視認した場所に飛ばした。

「・・・魔法の矢!」
「ぐはあっ!」

 ジーニが手ごたえを感じるとともに、次の瞬間、数人の男がいきり立って飛び出してきた!

「野郎、ふざけやがって!」
「おあいにくさま、野郎じゃないのよ。悔しかったら・・・・・・」
「やめろ!状況を見極めるんだ!」

 かかってらっしゃい、というジーニの挑発は喉の奥に消えた。
 首領らしき男が出てきて一喝すると、彼はジーニたちに向き直った。

「ここは退こう。だが貴様らの顔は覚えた。生きてここを通って帰れると思うなよ!」
「ほーっほほほほ!負け犬の遠吠えなんか、いちいち覚えてられないわよ!」

 野盗たちはジーニの叫び声を背負いながら、冒険者たちが来た方向へ走り去った。

「・・・・・・・・・」

 ローンは心もとない顔をしていた。野盗を怒らせてしまったのが原因だろう。
 それを見たジーニが、ふん、と胸を張って言う。

「不安になる必要はないです。私たちがついている限り、依頼人は必ず守りますから」
「・・・・・・はい」

(そう言われても不安だろうなあ、ジーニが思い切り挑発したもんなあ。)

 胸中で呟きつつ、エディンは急ごうぜ、と声をあげて一行を村へ導いた。

2012/11/07 03:19 [edit]

category: 護衛求む

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Wed.

護衛求む 2  

 ローン・イリーガ、というその依頼人は小柄な中年の男性だった。
 やや頼りなげなその風貌とは別に、語り口ははっきりとしていて、解りやすい言葉を選んでくれている。
 彼は、その口調で道行について説明してくれた。
 平坦ではっきりした道が続いているトレセガ街道は、途中で森に繋がっており、狼や野盗が出るという。
 全員がエディンの方を向いたのは、言うまでもない。

「はいはい。ちゃんとお仕事しますよー」

 その台詞が合図だったかのように、ローンが馬車を引き、一行はその周りを警護して歩き出した・・・。

ScreenShot_20120920_042529750.png

 途中、狼達をジーニの【眠りの雲】で眠らせ、ウィードを問題なく倒した一行は、休憩地点の小川でゆっくりと心身の疲れを癒した。
 森を無事抜けて、もう一息だと声を掛け合ったところで、依頼人から意外なことを言われる。

「・・・・・・狼の隠れ家のマスターには既にお願いしてあったんですが、ご存知ないでしょうか?」
「キイテマセン」

 ギルが思わず変な調子で返す。
 ローン氏は、「荷物を持ってください」と、さも当たり前のように彼らへ言ったのだ。

(あ、あのくそ親父~~~~!帰ったら見ときなさいよッ!)

 肉体労働の苦手なジーニが、思わず心中で復讐を誓っている最中も、依頼人の説明は続いた。
 上り坂が続くので、馬車に荷物を置いたままでは難しい、そのために馬の負担を減らすので荷物を持って欲しいと。
 しかし、これも仕事であることは間違いない。一行は諦めて重い荷を担いだ。
 ローン氏には聞こえない最前列で、ギルとアウロラがこっそりと囁きあう。

「なあ・・・・・・俺たちって・・・冒険者だよな?」
「そうですね」
「冒険者の仕事って・・・こんなものなのかよ」
「・・・・・・・・・」
「俺たちは・・・野盗や狼から依頼人を守るためにここにいるんじゃなかったのか・・・」
「・・・・・・・・・」

 ぶち。

(げげ!)

 聞こえるはずもないのだが、アウロラの堪忍袋の尾が切れたような音が、すぐ後ろのエディンには聞こえた気がした。
 エディンは、慌てて前のギルへ無駄口をやめるよう、アイコンタクトを必死で出した。
 何しろ、アウロラは普段は優しいのだが、怒りが頂点に達した時の恐ろしさは半端ではない。
 この娘を怒らせるのは、決して得策ではないのだ―――だが、哀しいかな、我らがリーダーにその目配せは見えていなかった。

「冒険者の仕事って―――」
「・・・分かりましたよ。理不尽な荷物運びを急に押し付けられたのは分かりますが、そんなことをグチっても仕方ないでしょう」
「う・・・・・・」
「目の前の仕事をキチっとやりとげるのも、冒険者の仕事でしょう」
「・・・・・・・・・」
「行きましょう。無駄口を叩いて無駄に体力消費する必要はないです」
「・・・・・・ハイ」

 まさしく氷の女王と見紛うばかりの視線で睨みつけられ、ギルは口を紡ぐしかなかった・・・。

「ん。罠がある」
「・・・いつも、ここを通るときはこんな様子なんですか、ローンさん」

 無事荷物を下ろし、また森のエリアに入った一行の足を止めたのは、エディンのそんな一言だった。
 人為的な罠であることはエディンの様子でよく分かる。
 ギルが、ローンに普段の街道について聞いた。このローン氏も、以前のように盗賊の下へ冒険者たちを案内するつもりなのだろうか?
 しかし、彼は思い当たることなどないらしく、眉をひそめて答えた。

「いえ、もっと平和できれいな森だったのですが・・・やはり、野盗などが森を荒らしているのでしょうね・・・悲しいことです」
「人間のエゴ・・・・・・か」

 アウロラが哀しげに瞳を揺らして言った。
 その後ろで、黙って指を動かしていたエディンが、終わったとばかりに立ち上がって一行を促した。
 一同は、しばらく言葉すくなに歩き始めた。

2012/11/07 03:18 [edit]

category: 護衛求む

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Wed.

護衛求む 1  

 いつもと変わらぬ、狼の隠れ家・・・・・・。
 それを見つけたのは、一行の癒し役であるアウロラだった。

「あら」

 彼女は壁に貼ってある張り紙をはがして、カウンターまで持っていった。

「親父さん、この依頼なんですけど」
「ああ、それか・・・見たとおり、護衛の依頼だよ」
「ん、新しい仕事?」

 不意に可愛らしい声があがり、アウロラが周りを見ると、仲間たちが後ろから張り紙を覗き込んでいた。
 質問をしたのは、幼いエルフであるミナスだろう。すっかり旅に出るものだと思い込み、目をキラキラさせている。
 その様子に苦笑した親父さんは、ゆったりと話を続けた。

「その依頼は、ある行商人からのものだ。村まで行商に行きたいから、行きと帰りで護衛してほしいらしい」

ScreenShot_20120920_040433671.png

「護衛か・・・よくある依頼ね」

 ジーニが呟く。
 よくある、という割りに口調が苦いのは、以前に、葡萄酒運びの護衛で山賊とやりあった経験があるからだろう。行商人の道行きの危険性はよく分かっていた。

「まあ、そうだな。どうだ、手ごろな依頼だと思わないか?」
「その依頼人が、またこっちに何かを黙ってたりしなきゃな」

 一行の荷物の中身を思い出しながら、エディンが笑った。
 前の経験を引きずるのも先入観があっていけないが、何の警戒もしないのも良くない。
 エディンと顔を見合わせたジーニはまず報酬を、濃藍の瞳を輝かせたままのミナスは道のりを、それぞれ宿の親父さんに聞いた。

「400spか。少なめよね~」
「ただし宿代は向こうもち、か」
「トレセガ街道って、僕初めて聞いたよ!どんなとこだろう!」
「ま、目的地のフォーン村までは丸一日って言うし、手ごろじゃねーか?」
「街道に出るのは野生動物や盗賊・・・・・・。まあ、確かに私たちなら何とかなりそうですね」

 ワイワイと円陣を作って騒ぐ仲間達を横目に、エディンが出発日時と依頼人について尋ねる。
 依頼人は堅実な商人で何度かこの宿でも依頼を受けていること、明日の朝に出発予定であることを確認すると、エディンは荷物に不備はないことを加えて、リーダーに報告した。

「やるよ。別に変な仕事じゃないみたいだしな!」

 ギルはにやりと笑って、アウロラから手渡された張り紙を振り回した。

2012/11/07 03:12 [edit]

category: 護衛求む

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