Tue.

月光に踊る長靴 7  

 ギルが骸骨戦士の攻撃を引き受けすぎて最初に倒れてしまったものの、概ね戦いは、冒険者に有利に進んでいた。

ScreenShot_20120920_030333640.png

 魔法の厄介なインプと老コボルトを早めに片付け、気絶したギル以外に【魔法の障壁】がかかる。
 ミナスが【水淑女の守】でギルの傷を癒す。

 このまま、力で押し切れると思った矢先に・・・・・・。

「プルクラ!?何でここに!」

 なんと、コーシカの飼い主であるプルクラが、森の奥から現れてしまったではないか。

「あっ・・・・・・ジュビアさんに聞いたの。あなたたちが森に行くって。それで、居ても立ってもいられなくなって・・・・・・」
「仕方ないくらい優しい子ね、プルクラって。隠れてなさい、こっち!」

 ジーニがすかさず、自分の後ろへと少女の華奢な体を押しやる。これで、魔法の目標にはならないはずだ。
 少女を逃がしてしまったダークエルフは、用意した【縛鎖の法】でエディンを麻痺状態にするが、その倒れていく脇から走り寄ったギルの刃先に胸板を裂かれた。

「ぐはっ!まさか・・・・・・この俺が人間に・・・・・・ッ!」

 ダークエルフが倒れた時、彼の懐から何かが飛び出し、満月の森の奥に消えていった。
 アウロラが細い声で呟く。

「・・・・・・妖精たち?」
「そのようだね。捕まってたのか。無事で何よりだ」

 アイルーロスがほっとした様子で言った。
 戦い終わってみると、辺りはすっかり静まり返っていた。
 踊り騒いでいた妖精たちもどこかへと消え、ただ満月だけがぽっかりと、そこを照らしていた。

「ありがとう。君達のおかげで勝てたよ」
「なに、大したことはしてないさ」

 荒い息をつくアイルーロスに向かって、ギルは笑顔を見せた。本当は、彼自身も【癒身の法】が必要な怪我であったけれども・・・・・・。

「さてと―――プルクラはどこに隠れたんだ?」

 治療を受けつつ少女を探し始めたギルを見て、ガートや他の”ケット・シー”も、妙なことにならぬうちにと去っていく。
 大きな木の洞に隠れていたプルクラが、スカートについた木の葉を払いつつ出てきた。

「コーシカ?・・・・・・コーシカっ!」

 少女に呼ばれ、白猫―――コーシカはプルクラの腕の中に飛び込んだ。
 アイルーロスが、そんな1人と一匹の前に進み出る。

「やあ、キミがプルクラさんだね」
「え・・・・・・え、あ―――ええぇっ!?」

 すっかり動転してしまったプルクラに、黙って成り行きを見守っていた冒険者たちは、耐え切れず大声で笑い出した。
 そして、コーシカの失踪とこれからのことについて、アイルーロスとプルクラは話をし終わった。
 プルクラは、アイルーロスとコーシカの好き合ってる様子を見て、2人を分かつことを諦めたらしい。
 時々会いにきてね、と言ってコーシカを見送った少女の背中を、アレクはよくやったと軽く叩いて誉めた。


※収入1600sp+2200sp(フォーチュン=ベル+月光に踊る長靴)※

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■後書きまたは言い訳
6回目のお仕事は、あきらつかささんのシナリオで月光に踊る長靴です。
愛らしい妖精のケット・シーがたくさん出てくるこのシナリオですが、実は続編がございます。
Leeffesも適正レベルに入り次第、その続編をプレイする予定でおりますので、ケット・シーファンの皆さまはもう少しだけお待ちくださいね。
強いモンスターを相手に命を賭ける冒険も、もちろんカッコイイのですが、低レベルの間はこういうほのぼのした冒険もゆっくりし楽しんでいきたいと思います。
アイルーロスとコーシカが、末永く幸せでありますように。

当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。

2012/11/06 05:24 [edit]

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Tue.

月光に踊る長靴 6  

「そろそろ陽が落ちるな」

と言ったエディンの言葉を裏付けるかのように、あっという間に森が暗くなっていく。
 そんな中現れたキジトラ―――”ケット・シー”のアイルーロスに、一行は改めて自己紹介を済ませ、ダークエルフのことについて注意を促そうとした。
 しかし、いかな”ケット・シー”とは言え、大勢の前での結婚に浮き足立っているらしく、冒険者たちを妖精の広場へと案内し終わって、すぐ姿を眩ませてしまった。

(状況くらい聞けよな)

と思ったアレクの後ろから、灰色の毛並みのガートという”ケット・シー”が現れた。

「おっ、来たね」
「こんばんは。お邪魔するわよ」

 様々な小動物―――に見えるが、ガートに言わせるとみな妖精らしい。小さな広場を囲むように集まってきている。

「そろそろだな」
「あ、ほらあそこ」

 尻尾まで緊張させたトラ猫の”ケット・シー”の呟きに、ギルが広場の奥の闇から現れた姿を指差した。アイルーロスとコーシカの入場である。
 サテュロスの少年が角笛を鳴らし、満月の祭が始まった。
 幻想的な光景だった。
 長靴を履いた猫が踊り、違う妖精が蝶のような紋様の羽根を蠱惑的に羽ばたかせる。
 踊りの伴奏を担うのは、一見不気味な一本足。器用にリズムを取っている。
 青白く浮かび上がる森の中、皆一様に楽しそうだ。

「ねえ。さっきのダークエルフ・・・・・・」
「ああ、そうだな。俺たちだけでも警戒しておこうか」

 ミナスがアレクの袖を引くと、そう答えが返ってきた。
 変わらぬ仲間の反応に、ほっとしたミナスが精霊たちの力の動きを感知してみた。もし、ダークエルフが不自然な精霊の働きをさせていれば、これですぐわかるはずだ。
 ふと、ミナスは双子のように立ち並んだ木の一角に注目した。そこから妖精たちは出入りしてるようだ。

(ねえ、あれ―――。)
(ああ。あれが妖精界の門か・・・・・・。)

 アレクが頷くと同時、ふ、と楽の音が止まった。
 輪の中心―――焚き火はないが、皆が円を描いているその中に、コーシカを伴ったアイルーロスがすっくと後脚で立っていた。

「さて、お集まりのみなさん。さぞ人間をからかい、遊び、あるいは親交を深めていることと思うけど」

 アイルーロスは、照れたように左の足を掻いてから言った。

「人間にはこんな習性があるのを知っているかい?それは『結婚』っていうんだ」

 アイルーロスの話を聞いているものも、聞いていないものも、茶々を入れるものもいるが、構わず彼は話を続ける。

「僕は―――」

 コーシカがつ、と彼を見上げ、気持ち良さそうににゃあと鳴いた。

「僕は今夜、人間のその素敵な風習に倣おうと思う。―――僕は彼女が大好きだ。人間的に言うなら、愛してる」

 そう愛を宣言したアイルーロスは、コーシカとの結婚を口に出そうとして―――。

「ビンゴっ!」
(さっきの・・・・・・!うかつだった、ずっと【精霊感知】を続けていればもっと早く気づいたのに―――!)

 悔しそうにこちらをねめつけるミナスをにやりと見やり、ダークエルフは言った。

「やはり居やがったか、人間ども」
「現れたか。アイルーロス、こいつはさっき俺たちに揺さぶりかけてきたんだ」
「何故それを言わなかった―――」
「言う前に、ここに駆け出したのでね」

 アレクは苦笑しつつ、抜刀してアイルーロスに答えた。
 親友の構えを横に、ギルが己を奮い立たせるかのように笑って言った。

「友人を守るのが、今日の務め―――。用意はいいな、みんな!?」
「おう!!!」

 ギルの掛け声に、全員が応じる。
 たちまち、広場は剣戟の音に満ちた。

2012/11/06 05:16 [edit]

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Tue.

月光に踊る長靴 5  


 翌日、ジュビアや村人に真相を漏らさぬまま、冒険者たちはまた森へと入った。
 途中で見つけた”ケット・シー”の仲間達に、昨日のキジトラの名前が「アイルーロス」ということや、まだ森では怪しいものを発見していない、ということを聞いていく。

(ねえ・・・・・・。不穏な気配って、昨日のダークエルフじゃないの?)
(かもしれん。アイルーロスに、そっと耳打ちしておくか。)

 ジーニとエディンが密かに話をしていると、前を歩いていたギルがぴたりと立ち止まって言った。

「何か鳴った?」
「・・・・・・気のせい―――?」

 話をしていたせいで、何もわからなかったジーニがそう答えると、また前日のように小石を手にしたアレクが、思い切りよく木の陰へと投げつけた。

「おいッ、姿を見せろ!」
「・・・・・・さすがは冒険者だ」

 それはあの時見つけたダークエルフだった。
 無闇に敵対するつもりはない、と嘯くダークエルフに、一行は構えを解かないままだった。
 ダークエルフは極めて賢い、邪悪な種族である。
 邪神を信仰する者も多く、その加護を得た者は魔法に対する親和性が高いために、攻撃の魔法がかかりづらいという特性を持っている。
 そのため、敵対しないという相手の口約束を簡単に信じるわけにはいかなかった。

「あんたら、アレだろ?あの猫どもに会ったんだろう?」

 ”ケット・シー”を見下したかのようなその物言いに、ギルやアレクはカチンと来た。
 アイルーロス―――冒険者たちにとって、すでに彼は対等の友人だった。

「お前には関係ないだろう」
「そういうなよ。昨晩、見てたんだからな」

 武器を持つ腕に力を込めたアレクに、ダークエルフは小ばかにしたように語り掛けた。
 しかし、いかに言を左右にしようとも、一行がダークエルフの喋ることに耳を傾けるつもりはない。

「誰がダークエルフの話なんかに乗れるかっ!」

 そう叫んだエディンの横を、無言でアレクは走り抜けた。剣はすでに鞘から抜いている。
 交渉の失敗を悟ったダークエルフは舌打ちして、また姿消しの呪文を唱え捨て台詞を吐いた。

「せいぜい長生きしろよ」
「・・・・・・なんでしょう、あれ!」
「さあな。しかし、一応襲撃を警戒したほうが良さそうだ」

 柳眉を逆立てたアウロラに、エディンが腰のダガーを確かめつつ応じた。


2012/11/06 05:15 [edit]

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Tue.

月光に踊る長靴 4  

 夕飯をお屋敷で補給した一行は、再び森へと踏み出していた。
 雲のせいか木々のせいか、月光はほとんど見えない。
 ぼうっと周りが伺えるくらいだ。

「・・・・・・行くか」

 アレクが一行を促し、彼らは用心深い足取りで夜の森を進んでいく。
 枯れた小枝を踏んだ微かな音に、ギルが振り向く。

「―――あっ!」

 ギルの大声に驚いたのか、雪のように真っ白な毛並みの猫が一行の視界に飛び込んできた。
 夜闇の中、浮かび上がっているようにも見える。
 エディンがそろそろと、盗賊特有の足取りで猫に近づき捕獲しようとしたが、

「にゃ・・・・・・ぁ」

 コーシカはそれを素早く察知したのか、きびすを返し森の奥へと逃げてしまう。

「あ、待って!」
「あそこ!」

 どうしても運動の苦手なジーニが仲間に遅れまいと必死で走り、その手を引っ張っていたアウロラが、コーシカの毛並みを見つけて周りに呼びかける。
 今度こそ失敗は許されまいと、エディンがさらに気配を殺して猫に近づいた。
 すると・・・・・・。

「ふうぅっ・・・・・・」
「わっ。何だこの猫―――」

 白猫を守るように、そのキジトラ模様の猫は一行の前に現れた。
 毛を逆立てて唸る猫の様子に、まずは宥めないとと思ったミナスが、キジトラの正面に回りこんで、穏やかな優しい声で話しかけた。
 それは精霊使いがよくやる、精霊語の語り掛けに似ていた。
 精霊の力を感じ取ることのできる者は、徐々に精霊たちの話し声を「聞き」取ることが出来るようになる。
 そうしてその内、己も同じ言葉で会話を交わせるようになるのだ。

「ねえ、おまえの後ろにいるのはコーシカ、って名前だよね?」
「・・・・・・・・・・・・」

 唸り声が静かになったのに勇気付けられたか、ミナスが話を続ける。

「実はさ―――」

 ミナスはキジトラに向かって、依頼されてコーシカという白い猫を探していることを話した。

「それで、できたら穏便にそこのコーシカを飼い主の元に戻してやりたいんだよ」
「・・・・・・ふぅ」
「え?」

 エルフの子どもの懸命な説明に、キジトラがため息をついた―――ように見えた。

「君らの言い分は解ったよ。確かに、彼女はコーシカだ」
「!?」

 猫が人語を話す、という事態に追いつけなくなったアウロラが、声も出せずに動揺した顔になった。

「驚かせた?僕は只の猫じゃない」

 キジトラは、自分は”ケット・シー”と呼ばれる妖精族であると話した。
 コーシカは只の猫なのだが、その美しい姿に魅了された彼が、自分と一緒に来ないかと誘ったために起きたのが、今回のコーシカの失踪事件の真相らしい。
 種族が違うだろうに、と思ったアレクが、

「どうして・・・・・・?」

と問うた。

「野暮なこと訊かないでくれ。僕は彼女に惚れてるんだ。好きなんだ」

 ストレートすぎる愛の宣言に、他人(猫?)事ながら思わず頬を赤らめたアウロラの顔を、おやおやと言いたげな顔つきでエディンが観察した。人間とは思考の形が違うためか、この妖精は極めて素直に感情を発露している。

「確かに、彼女の元の飼い主には悪いかも、って思う。けどコーシカだってもう大人だ」
「ふーむ。なるほどねえ・・・・・・」

 エディンが見るところ、コーシカもこの妖精の傍にいることを好んでいるらしい。
 遅かれ早かれ、猫には求愛の時期が来るのが普通で、それがたまたま”ケット・シー”だった、という話だ。
 エディンは、それならそれでもいいじゃないか、と思っていた。獣が本能で選んだ相手なら、人間のようにごちゃごちゃ理屈をつけて一緒になるよりは、幸せになるだろうと。
 この若い”ケット・シー”は、明日の満月の晩に、仲間に対してコーシカと「結婚する」と宣言をするつもりでいる、と一行に説明した。
 それを訊いたアウロラは、小首をかしげて妖精に言った。

「ね、あなた自分でプルクラ―――コーシカの飼い主に説明しに行ったらどうかしら?」
「えっ―――?」
「お嫁さんにもらうんだから、それが筋ってもんじゃないか?」

 ギルがアウロラの後押しをするように言葉を重ねた。
 
「ああ、うん。それが正しい筋だっていうのはわかってるんだ・・・・・・」
「じゃあどうして、行ってないの?」
「言い訳にしかならないんだけど・・・・・・森が―――騒いでるんだ」
「森が?」

 妖精の言葉に、ギルが森を見上げる。しかし、彼には精霊使いとしての資質は備わっていないので、よく分からない。
 その不穏な気配のせいで、うかつに森を出られないという”ケット・シー”に、

「仕方ないなあ。じゃあ明日の晩まで待ってやるよ」

と、困ったようにギルは頭を掻いて言った。
 ”ケット・シー”は感激したような面持ちで、ありがとう、すまない、と一行に繰り返す。
 冒険者たちは、滞在が伸びることを覚悟で、最後まで彼ら猫に付き合うことにした。

2012/11/06 05:14 [edit]

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Tue.

月光に踊る長靴 3  

 爽やかで涼しい空気を胸いっぱいに吸った一行は、これから入る森を見やった。
 数件の家々と畑の向こうに、森を望める。
 この村の景観の一翼を担っているのは確かだが、決して迷いそうなほど広大な森には見えない。

「とりあえずは聞き込みか」
「―――あ、あそこに」

 アレクがとりあえずの方針を打ち出すと、きょろきょろしていたアウロラが、ちょうど村人らしい人影を森の近くに見つけた。
 寡黙そうな中年の男性と、鮮やかな赤毛の娘だった。
 コーシカのことは彼らも知っているらしく、探している事情を打ち明けるといろいろ話してはくれたのだが、これといった情報はなかった。

 プルクラはこの森を「変な森」と言っていたが、村人によると、森には妖精がいるという昔話があるらしい。
 一行は用心しながら、森へと入っていった。

 森は、青々と繁っていたが、けっして暗くはなかった。
 葉擦れの音、鳥の唄、どれも自然に一行を包み、手荒くもない。
 幾度かの冒険をくぐり抜け、いつしか備わっている所謂”勘”ともいえる感覚からも、差し迫る危機などなさそうに思える。
 
「お?」

 微かな音に反応したアレクが見ると、木の股から猫が一行を見ていた。
 グレイの毛並みをしたその猫は、ただじっと、冷ややかともとれる眼差しを向けている。
 ミナスがそのふてぶてしい態度を面白がって近づくと、猫はまったく彼を無視して、森の奥へと去ってしまった。

「ああん。な~んだぁ、可愛くないヤツ」
「苛められると思ったんじゃないのか?」

 ギルがミナスをからかうと、真っ赤になったミナスは小さな拳を固めて、彼の腹の辺りをぶった。

「こら、リーダーもミナスも、少しは真面目にやれ」

 エディンはそう2人を叱ると、周りの探索の続きに入った。仲間も似たような仕草で周りを探す。
 平穏だが何も手がかりのない森の様子に、一行が失望のため息をつくと、ジーニが「あら」と声をあげた。

「ねえ、また猫よ」

 先ほどあったのとはまた違う猫が、一行に視線を投げていた。
 興味があるのかないのかわからないが、泰然としている。

「ギル兄ちゃん。僕より上手く友達になれるんでしょ。お手本見せてよ」
「言ったな?よーし、見てろよ・・・」

 ミナスが仕返し代わりにそう切り出すと、ギルがその言に乗って猫に近づいた。
 しかし、「来い」というギルの声が気に入らなかったのか、そのトラ猫もふいっと奥へ去っていく。

「あ~ぁ・・・」
「ほら、ギル兄ちゃんもダメじゃないか」

 諦めて、他の場所を探そうとし始めた仲間達に、妙に顔をこわばらせたアレクが言う。

「なあ・・・・・・。今、何かいなかったか?」
「何かって・・・・・・何でしょう?」

 アウロラは気づかないらしく、不審げな視線をアレクに向けるだけだ。
 アレクの父が持っていた精霊使いとしての血に、引っかかるモノがある・・・そういえば、プルクラ嬢もここを「変な森」だと言っていなかっただろうか?


「・・・・・・・・・。そこだッ!」

 いつの間に拾っていたのか、小石を手にしたアレクが茂みに思い切り投げつけると、そこから黒い肌に尖った耳を持つ男が躍り出た。

「!!!」

 とっさに武器を構えたギルの横で、ジーニが驚いた声をあげる。

「ダークエルフ!」
「・・・・・・ちっ。聡い連中だ。残念だがお前らの相手してる暇はないんだ」
「待てこら、逃がすかよ!」

 舌打ちするダークエルフを睨みつけ、ギルが間合いを詰めようと走り出すも、

「じゃあな」

と言って、妖魔は姿を消してしまった。

「畜生、せっかく手がかりっぽいヤツを見つけたのに・・・!」
「・・・・・・コーシカは、あのダークエルフに捕まっているのか、ダークエルフを避けるために隠れているのかしら?」
「無関係とは思えんな」

 地団駄を踏むリーダーを落ち着かせつつ、ジーニとエディンが言葉を交わす。
 アレクが静かに言った。

「夜、だな。あの妖魔は夜目が利く。何かするつもりがあるなら、暗いうちにやるかもしれん」
「なら、暗くなったら再戦だ!」

2012/11/06 05:13 [edit]

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