Thu.

死者の村へ・・・ 4  

 敵の中には生きている人間も混じっているということで、ジーニは早速【眠りの雲】の詠唱に入った。
 ギルとアレクが、それぞれ取り巻きの数を減らす為、【薙ぎ倒し】や【風切り】の対多数用の技を出した。
 戦場を縦横に駆け抜けるギルやアレクの姿に、ボルラスは焦りを禁じえない。
 その焦りが原因か、中々詠唱に集中できないアンデットの親玉を、こっそりと後ろに回っていたエディンが銀の武器で傷つける。

「き、貴様・・・・・・!!」
「へへ、死人になったのが運のつきって奴だな」
「許さん、許さんぞ!」

 ジーニの援護のほかに、しっかりと覚えたらしいラインの【亡者退散】も飛び、ワイトを浄化する。
 それに動揺した盗賊や魔術師を、ギルの斧とアレクの剣舞がばたばたと気絶させていった。

「こんな・・・・・・ところで・・・」

と、盗賊が眠りに着く間際に飛ばしたナイフが、深くギルの利き腕を抉る。

「リーダー!」

 はっとしたエディンの叫びに、ギルは案外と平気そうな声で答えた。

「俺にかまうな。ボルラスに集中しろ!!」

 エディンのすぐ後ろに回ったアウロラはやや逡巡したが、治療よりもボルラスへの攻撃を優先させ、【光のつぶて】の詠唱に入る。今度こそ、この男を逃すべきではない、と判断したからだ。

「塵に還りなさい!」

 アレクやエディンの攻撃を杖で受け流したボルラスに、気合のこもったアウロラの光弾がぶつかるが、ぐらりと傾くもまだ倒れない。

「おのれ、冒険者たちめが・・・・・・!」
「スネグーロチカ、お願い!あいつにぶつかって!」

 追い打ちをかけるように、ミナスの召喚した雪精がボルラスの行動力を削ぐ。
 エディンの銀剣が左肩を穿ち、宿敵の動きの硬直したところをアレクの剣が凪いだ。

ScreenShot_20121230_072326500.png

「グハア・・・・・・な、なんと言う事だ・・・・・・」

 血の通わぬ体は、足から徐々に動かなくなっていく。

「こ、この私が・・・・・・。こ、こんな奴等に・・・・・・・・・・・・」

 ボルラスが倒れると、それと同時に戦場を徘徊していたアンデットの動きも止まったようだ。
 動きの止まった死人たちを教会の主力部隊が打ち砕き始める。しばらくすれば、すべてかたづけられるだろう。
 片手を額にかざし、それを眺めていたアレクが呟く。

「ふう・・・・・・。戦場のほうもあの様子ならすぐにカタが付くだろう」
「そうですね」

 呟きに応じたラインが、じっと手元の剣を見つめながら独語した。

「やっとけりが付けられました・・・・・・。それにしても、このボルラスの死体どうしましょうか、ほっといたらまた復活するかもしれませんし・・・・・・」
「しょうがないわ・・・・・・。気味は悪いけど、教会まで運んでそれ相応の処置を施すしかないわね」

ScreenShot_20121230_072955828.png

 パーティ1の知恵袋の助言に頷いたラインが、「では私が責任を持って処理することにします」と言って死体をかつぎ上げた。
 そのまま、”金狼の牙”たちへ、

「それでは教会の兵力と合流して、聖西教会に戻りましょう」

と促した。

 宿敵ボルラスを倒し、アラン村のアンデットをも殲滅した冒険者たち一行は、ファイフル司祭たちと共に、意気揚々と聖西教会に引き上げた。

「ありがとう、冒険者諸君。君たちの働きのおかげで、我々の目的を完全に果たす事ができたよ」
「いえ、こちらこそお礼を言いたいくらいですよ。アンデットを抑えてもらったおかげで、ボルラスを倒すことができましたから」

 興奮した司祭に手を握られ、否応無く上下に振られながらもエディンは言った。
 その顔には、充実感のほかに少々の狼狽も混じっているように、ミナスには思えた。
 盗賊が商売道具である手を他人に預けるような真似は避けたがる、というのは、まだこの幼いエルフには分らない。

「これが謝礼だ、受け取ってくれ。少々色をつけといたからな」

 ファイフル司祭の差し出した謝礼を受け取り、冒険者たちは頭を下げる。
 代表してアレクが受け取ったそれは、1200spもあった。
 やがて彼らが暇を告げると、ファイフル司祭は別れを惜しみながらも、

「うむうむ、では気をつけてな。またなにかあったら宜しく頼む」

と言う。
 司祭の傍らにいたラインとも、ここで別れることになる。
 彼は、ジーニに宣言したとおり、ここでボルラスの遺体について処理しなければならない。すでに、かの遺体には聖水による浄化作業が行われていた。

「では冒険者の皆さん、ありがとうございました。私はボルラスの死体をきっちりと火葬してから帰ります。本当にご苦労様でした」
「お前もな、ライン。あの【亡者退散】は正直助かったぜ」
「フリッツに負けないくらい、剣技も磨けよ。じゃあな」

 ギルやアレクの別れの言葉に、ラインはやや目じりに光るものを滲ませつつ、冒険者たちを見送ってくれた・・・・・・。

「ただいま~」

 無事、店に帰ってきたギルを親父さんがいつものように出迎えた。

「おうおう、お疲れさん。ところでお前たち大活躍だって?すごい噂になってるよ」
「え!本当に?噂はシルフより早いってよく言うけど、本当なのね♪」
「・・・・・・と、ところで、報酬のほうもたんまりもらったんだろ?」

 たちまち上機嫌になったジーニの現金さに呆れつつも、親父さんがパーティを見渡した。
 ギルが、「ああ」と応えた。

「まあな。たんまりってほどでもないけど、そこそこいい稼ぎになったよ」
「ほほう、それじゃ今日こそはツケの清算をしてもらえそうだな」
「え~~~と・・・・・・・・・」

 ギ、ギクウ!?と大きく肩を揺らして、アレクが額に一筋の汗をたらしながら抗弁する。

「うん、今日は疲れたから、もう休ませてもらうよ、すまないな、その話は明日って事で・・・」

 ”金狼の牙”たちはそそくさと二階へ消えていった。
 その後を追うように、親父さんの大きな笑いが響く。

「あっはっはっはっは、大活躍した英雄もツケは怖いとみえるなあ」

※収入1200sp※

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■後書きまたは言い訳
17回目のお仕事は、マットさんの死者の村へ・・・です。密売組織血塗られた村の続きで最終話となります。
ショートキャンペーンシナリオということで、短いながらもよく纏められたシリーズだったと思います。
PCのモチベーションとしても、「あいつをこのまま野放しにはできない・・・!」という感じで結束が固まっていたはずなので、今回倒すことができてすっきりしました。
戦闘では、ちょっとアンデッドうざいなあ、と思っていたらベストタイミングでラインの【亡者退散】がきたもので、どじっこラインも成長したなあ、と嬉しかったです。
・・・が、よく考えたらその設定私が勝手につけたんだった、ごめんねライン君(笑)。

当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。

2013/01/03 02:32 [edit]

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Thu.

死者の村へ・・・ 3  

「やはり我々は、別働隊として、ボルラスに直接戦いをいどむべきだと思います」
「そうか、やってくれるか!」

ScreenShot_20121230_063810812.png

 ギルの答えは別働隊の担当であった。作戦を提示したファイフル司祭が軍人のように喜色満面だったとは、後に聖戦士ラインが述懐することである。

 別働部隊は主力部隊に先発して、街道を北に迂回するルートを取り、戦場予定地裏の森に向っていた。
 行程は一日をついやした。
 細心の注意を払っていたからか、敵に発見されることなく進むことができた。

 アラン村裏手の森到着後、ファイフル司祭の手配による案内人の指示は明確で、”金狼の牙”たちにはありがたいことこの上なかった。

「あくまで道案内という契約なので、戦闘には参加しないがな」

と、案内人は言う。
 何でも盗賊ギルドのメンバーだとかで、それを聞いたアウロラは驚きを隠せなかったのだが、ファイフル司祭はどうやら盗賊ギルドにもちゃんとしたコネがあるらしい。

「ほんと、食えない司祭様ね・・・・・・」
「おかげで、僕ら迷わずに済むけどね」
「ここを出ればアラン村のすぐ北に出る事ができるぜ」

 小声で騒がしい冒険者をよそに、案内人はやっと見えた森の出口を指差しながら言った。
 頷いたラインが、ギルたちを振り返る。

「ここを出れば敵の裏手に出る事ができるはずです」
「ああ。そっちの兄さんも案内ありがとう。・・・よし、皆。魔法の支援が終わったら行くぞ」

 出口の外に溢れているだろう戦力を慮り、【祝福】や【蛙の迷彩】などの魔法を先にかけておく。
 エディンが銀の細剣の具合を確かめ終わったところで、彼らは森から走り出した。

 前方数百メートルの平原では、教会側の主力部隊とアンデットとが激しくぶつかりあっている。

「やったぜ!まさしくグッドタイミング!さて、敵の司令部は・・・・・・」

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 エディンが素早く目を走らせると、アンデットではなく、生きた人間が数人集まっているのが確認できた。

「よく見ればボルラスらしいローブ姿も見えますよ」

 聖戦士の指差した方向には、確かにボルラスらしきローブ姿が確認できる。
 彼等は前方の戦闘に気を奪われ、こちらにはまったく気がついていない様子だ。
 ギルが、手元の斧をブン!と音高く振り上げて号令した。

「よし!相手はこちらに気がついていないようだ。一気に攻め込むぞ!今度こそボルラスの息の根を止めてやる」
「おう!!」

 冒険者たちが姿を隠しながらボルラスに近づくと、ボルラスはかたわらの盗賊に何やら指示をだしていた。
 彼は何人かの護衛を付け、冒険者たちが通ってきた森のほうに引くつもりのようだ。

「まだ・・・・・・まだだ・・・・・・」

 タイミングは外せない。”金狼の牙”とラインは、ひたすらその時が訪れるのを待つ。
 そして彼らの目の前に、いよいよ仇敵が通りかかる。

「待てよ、ボルラス!」

 死人と生きている人間の団体が隠れている茂みにさしかかったところを、アレクの鋭い叱咤が止めた。
 行く手をさえぎるように全員が飛び出す。

「な、なに!?何故貴様等がこんな所に!!」

 すでに死人と化した顔を狼狽に歪ませて、ボルラスが叫ぶ。
 それを余裕の表情で見やったアレクが、朗々と戦闘を宣言した。
 今度の戦闘は神官戦士フリッツの敵討ちでもある。

「毎回毎回貴様の思う通りに行くとは限らないんだよ!今度こそ貴様の息の根を止めてやるぜ!!」
「・・・・・・クックック・・・・・・私とした事が貴方がたの事を少々甘く見過ぎたようですね・・・」

 精神的に建て直しを果たしたらしいボルラスが、手近の部下に散会を指示しながらにやりと哂う。

「しかし私に勝てるとでも思うのですか?」
「ええ、思うわ!いつもセコセコ逃げ回っている悪党なんかに負けるわけ無いじゃない!!」

 ボルラスの挑発に、あえてジーニは乗り、更に嘲笑まで付け加えた。
 まったく意地の悪い事をやらせたら、この女の右に出るものはそういない。
 激怒したボルラスは、「その自信、打ち砕いて差し上げましょう」と詠唱集中に入り始めた。

2013/01/03 02:20 [edit]

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Thu.

死者の村へ・・・ 2  

 翌朝、聖北教会に到着した冒険者達が辺りを見回すと、聖戦士ラインをはじめ、ローブをまとった者や傭兵風の男たちが出発の準備をしていた。
 さっそく彼らは、ラインに近づいて挨拶する。

「おはよう、ライン。もう出発の準備はほとんどできているようだな」

 荷造りをした物を馬車に積みこんでいた聖戦士ラインは、冒険者たちが挨拶をすると、手を休めてこちらへやってきた。

「おはようございます皆さん。そうですね・・・・・・。もう準備はほとんど終っていますよ」
「そうか・・・・・・・・・。ところでざっと見回したんだが、ここにいる人数は15人位のようだな、この人数で出発するのか?」
「こちらからはこの人数です。ただし、聖西教会の方でも20人ほどの人数が集まっていますから、総勢35人と貴方がたが我々の戦力ですね」

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 アレクの質問にラインがよどみなく答える。
 その落ち着きぶりに首をかしげながら、ギルもラインに言った。

「了解したよ・・・・・・。ところで兵力の編成はどうなっているんだ?」
「そうですね・・・・・・。魔法が使える者が10人ほど、後はお金で雇った傭兵たちですね」
「ふむ。思ったよりマジックユーザが多いのか」
「もちろん貴方がたにも報酬が支払われます。まあ、800spといったところですが・・・」
「わかった。1000sp近くももらえれば上等だよ」

 そんな事を話しているうちに準備が整ったようだ。
 ラインに促され、荷物をもう一度担ぎ上げた冒険者達は、聖西教会に向った。
 
 行程は1週間ほど続き、やがて一行は目的地にようよう到着した。
 聖西教会にはすでに武装をした兵士たちが集結している。
 聖戦士ラインは聖西側の指導者らしい司祭と一言二言話をすると、冒険者たちに声をかけてきた。

「到着早々で申し訳ありませんが、早速戦術を説明するとの事なので、私について来て下さい」

 ラインはそういうと、聖西教会の司祭と教会に入っていった。
 ”金狼の牙”たちも、あわてて聖戦士ラインについて中に入った。
 石造りのごく質素な部屋の中に、茶色い髪を司祭用の帽子におさめ、青い司祭服を着込んだ壮年の男性が立っている。

「こちらが聖西教会のファイフル司祭です」
「ご協力感謝する。私はこの出兵の指揮を任されているファイフルです。どうぞ宜しく」

 ファイフル司祭は、威厳らしいものも漂ってはいたが、親しみやすい笑顔で冒険者たちに話しかけてくれた。
 ギルが、幾分か緊張していた肩から力を抜き、彼の差し出す手を握り締める。

「はい、こちらこそ宜しくお願いします」
「それでは現在の状況と、戦術の説明を始める」

 そこから先は、まるで大国の軍隊のような作戦会議だった。
 ファイフル司祭の親しみやすさは鳴りを潜め、呆気にとられた冒険者を無視し、うむを言わせぬ調子で話を進めていく。

 斥候の調査によると、アラン村に集結している敵勢力(ボルラスのもの)はゾンビーを主力とし、数人の魔術師と盗賊で編成されている、らしい。
 ボルラスはアラン村の住民だけではなく土地の墓地を暴き、その戦力を増強しているという。
 その数、アンデットが80~100体、魔術師や盗賊が合わせて10~15人程度。
 対して教会側の戦力は、冒険者たちを合わせても40人強・・・。
 質は高いものの、果たして対抗しきれるのかどうか。

 ジーニが、ファイフル司祭の豹変振りにまだついていけない様子ながらも

「え、えっと、それで、アラン村にはボルラスがいるのでしょうか?」

と問う。

「うむ、先日の報告では、指導者らしき者がアンデットだったと聞いた、多分それがボルラスだろう・・・」
「ボルラスはまだアラン村にいるって事が・・・・・・。今度こそ取り逃がさないようにしなくては!」

 エディンが心底忌々しげに両手を打ち合わせると、素早くファイフル司祭が同意する。

「その通りだ。そこで一つの戦術を取る事を提案する」

 その戦術とは、陽動作戦のアレンジだった。
 まず自軍を主力と別働部隊の二手に分ける。
 別働部隊は戦闘力の高さをふまえ、冒険者たちと聖戦士ラインで編成する。
 主力は街道を通り、直線的に戦場予定地に向う。
 別働部隊は戦場予定地を大きく北に迂回し、戦場の更に西にある森を抜け、直接敵指令部に攻撃をしかける。

「ふーん、なるほどねえ・・・・・・」
「別働部隊によって敵指令部を一気に叩く、か。ただでさえ寡兵な軍の戦力を分割するんだ、返り討ちの可能性は捨て切れんぞ、リーダー」
「司祭の話では、主力のみで十分アンデットの足止めはできるらしいからな。俺たちのルートに敵戦力が展開している可能性は少ないみたいだが」

 感心したように腕を組むジーニを間に挟み、エディンとアレクが向かい側に座るギルへ話しかける。

「さて、別働部隊を担当するか、全兵力を集結させて攻め込むのか、最終的にどうするかは、君たちが決めてくれたまえ」

 ファイフル司祭が机上の地図を広げたまま、冒険者たちに決断を促した。

2013/01/03 02:18 [edit]

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Thu.

死者の村へ・・・ 1  

「こないだのオデッサ村の冒険は、大変でしたね」
「そうだなあ。ルーシー、元気で研究続けてるといいんだが」

 太陽は沈み、街で生活する人々は仕事を終えて一杯やっていようかという時刻。
 狼の隠れ家でも杯を交わす者たちや怪しげな会話に興じる者たちでもり上がっていた。

 ギイィ・・・という音がして。

 酒場の喧騒の中に1人の男が入ってきた。
 ゴツイ鎧を身にまとった男は、神経質そうな顔つきで辺りを見まわし、酒場の一角を占拠していた”金狼の牙”たちを見つけると声をかけてきた。

「お楽しみの所、失礼します」

 声をかけてきたのは、冒険者たちとは顔見知りの、聖戦士ラインだった。

「あ、ラインさんじゃない。こんな時間にどうしたの?」

 アルコールではなく木苺のジュースの杯を抱えたミナスが、深刻そうな顔つきをしたラインとは裏腹に、陽気な口調で問いかけた。

「じつは先日お話した通り、アラン村に軍勢を派遣する事が決定しました。ついては、貴方がたにも協力をして頂きたいと思いまして・・・・・・・・・」

 ラインの言葉を聞くと、冒険者たちの酔いは急激にさめていった。
 それは死者の村と化したアラン村への出兵協力の要請だったからだ。

 アラン村――。
 ”金狼の牙”たちは、消息を絶った聖戦士団の行方を探していた時、倒したはずの死霊術士・ボルラスがアンデットと化して存在し、村を丸ごとアンデット化するという事件に遭遇した。
 その村へ教会は軍勢を派遣することを計画し、彼らもそれに協力することを約束したのだ。

 ラインは低い声音で話を続ける。

「明日の早朝、聖北教会からも派遣部隊が出発します」
「明日、か・・・」

 静かに酒杯を机上に置いたギルの呟きに、ラインが応じる。

「なにぶん急な決定なので、貴方がたにも迷惑な話とは思うのですが・・・・・・。協力していただけますか?」
「分った、協力しよう」

 何しろ、短い間とはいえ行動を共にした神官戦士のフリッツをゾンビにされた怒りがある。
 ボルラスをしっかりと討っておかなかった自分達の責任だ、と思っていたのだ。雪辱は晴らさねばならない。
 アレクが頷く。

ScreenShot_20121215_020856625.png

「確かに戦力が集まるまで出兵を躊躇していたら、あの地方はゾンビーだらけ・・・・・・。なんて事にもなりかねないもんな」
「ありがとうございます。アラン村周辺の住民には避難をするよう指導していますが、時間をあければ戦力が補強されるのは向こうも同じですからね」

 首領であるボルラスの術は、そこに死体さえあれば、際限なく手ごまを増やすことができる。
 ボルラスに、これ以上罪なき人間の屍を利用させるのは嫌だった。

「話は了解したよ。じゃあとりあえず明日の早朝、教会の方に出向けばいい?」

 くりんとした藍色の瞳をラインに向け、ミナスが言う。

「そうです。明日の早朝においでくだされば結構です・・・・・・。それでは明日の準備もありますので私はこれで失礼します」

 聖戦士ラインは冒険者達に協力の約束を取りつけると酒場を出ていった。
 彼の背中を見送り終わったギルが、仲間を見渡して口を開いた。

「それじゃあ明日は早くに出なければならないから、もう休もうか」

 ”金狼の牙”たちは明日の朝が早いことを考え、早めに睡眠をとることにした。

2013/01/03 02:14 [edit]

category: 死者の村へ・・・

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