血塗られた村 5
”金狼の牙”たちが、出口に差し掛かったその時・・・。
待ち構えていたゾンビ達が襲い掛かってきた!!
「ワイトまでいます!気をつけて!」
≪氷心の指輪≫を使い、詠唱に集中するアウロラの注意が飛んだ。
ワイトはゾンビやスケルトンより上級のアンデッドで、人の生気を吸い取る特殊能力がある。
それを耳にして、あらかじめ地の精霊・ファハンを呼んでいたミナスは、さらに彼の眷属を召喚した。
ギルと精霊が傷つけたワイトを、アレクの新しい技である【召雷弾】が止めを刺す。
ジーニは、これ以上仲間が傷つかないようにと、【魔法の障壁】を唱えた。
多少の傷は入ったものの、重傷に陥る者もなく、無事彼らはゾンビ達を退けることができた。
ギルが額の汗を拭い、仲間たちに声を掛ける。
「ふう・・・。さあ、早く行こう」
洞窟を出るとまばゆい太陽光線が冒険者達の目に飛び込んできた。
すぐそこには無人の村が見える。
アウロラは痛ましげに村を見やったが、気を取り直して言った。
「とりあえず聖西教会に行って、事情を報告しましょう」
そうして、一行が村を抜け出した時。
「こいつらです!私が先程ご報告した怪しい連中というのは。おのれ抜け出したか!」
ローブを身にまとった老人に、慇懃無礼の見本のような声が応えた。
「ガルミッシュに呼ばれてこんな所に来てみれば、貴方がたでしたか・・・・・・」
「お前は・・・ボルラス!?生きていたのか!?」
ギルがその姿に驚きの声を上げる。

なぜなら、ボルラスを【暴風の轟刃】で倒したのは彼だったからだ。
見覚えのある風貌の死霊術士は、なんともいえないオーラを漂わせている。
その時、ジーニの持つ杖が微妙に震えた。
「何だというの・・・・・・?この男に反応している・・・?」
「おそらく、自分にアンデッド化する魔法をかけていたのでしょう」
ジーニの疑問を払拭するかのように、ラインが言う。聖戦士として戦ってきた中に、そういう禁呪の類があるのを知ったのだという。
「なるほどね・・・。この杖は、死霊術の禁呪に反応したんだわ」
対峙するボルラスは、己の周りにいるアンデッドを見渡して言う。
「ふむ、戦力が整っていない」
「ボルラス様、しかしまだこいつらを逃すわけには・・・・・・」
ローブの老人が言い募るのを、ボルラスが手をかざして遮り、冒険者達の方の一点に視線を固定した。
「・・・・・・ん?フリッツか・・・・・・クックック・・・・・・よし」
ボルラスは何事か呪文を唱え始めた。
するとフリッツの顔が見る見る、死人のそれになって行く!!
「なっ!?フリッツ!!」
ボルラスと同じオーラを漂わせたフリッツが敵陣に加わるのを見て、ラインが驚愕の声を上げる。
「・・・・・・・・・・・・・・」
フリッツは何も応えない。
エディンが、銀の細剣を抜きながら舌打ちした。
「フリッツにアンデッド化する呪文をかけていたのか!!」
「それでは頼みましたよ。クックック・・・・・・」
「畜生、待てボルラス!!」
ギルの叫びもむなしくボルラスが【帰還の法】を唱えて去っていき、残された老人は新たな戦力をもって冒険者達に向き直った。
「死ぬがよい!」
まだ先の戦いの負傷が癒えないまま入った戦闘は、初っ端からアレクが重傷、ミナスも重傷一歩手前までに追い込まれた。
しかし、すかさず【光のつぶて】をフリッツゾンビに打ち終わったアウロラが、今度は【癒身の法】をアレクに唱える。
「よしいけ、ファハン!」
エディンがフェイントを掛けたためにできた隙を逃さず、ミナスの声に応じたファハンがガルミッシュを倒す。
そのミナスの傷は、ラインが【癒身の法】を唱えて癒した。
「すいません、皆さん・・・・・・フリッツの奴を、よろしくお願いします」
「・・・・・・ああ」
血を吐くようなラインの願いに、エディンがワイトの爪を細剣で防ぎながら頷く。
そして、髑髏のついた杖を振り上げ【火炎の壁】を唱えたジーニは、気の強い眼でフリッツだったゾンビを見やった。
「悪いわね、フリッツ。短い間だったけどさよなら」
「ぐはっ!!」

炎は、死体を焼き払った・・・・・・・・・。
「フリッツ・・・・・・・・・」
ラインの呟きを、風がさらっていった。
一行は聖西教会に行き事情を説明。
近いうちにゾンビの巣窟と化したアラン村に軍勢を派遣する事が決定したらしい・・・・・・。
一行は協力を約束すると帰路についた・・・・・・。
「そうですか・・・・・・フリッツが・・・・・・」
教会で待ち焦がれていたレンフ司祭は、冒険者達の報告に驚き、そして聖戦士たちの最期に嘆息した。
「しかしよくやってくれました。これは報酬です」
800spの報酬を得た”金狼の牙”たちは、ラインに別れを告げた。
「それではアラン村の件、準備が整い次第狼の隠れ家の方にお知らせいたします。その時はまた宜しくお願いします」
「では私達はこれで失礼させて頂きます」
ジーニの挨拶を皮切りに、一行は宿へ帰っていった。
※収入800sp※
--------------------------------------------------------
■後書きまたは言い訳
15回目のお仕事は、マットさん&ジン太さんの血塗られた村(密売組織第二話)です。
こちらは、一話と違ってマットさんは概略を担当なさり、ジン太さんが製作されたそうです。
同輩のフリッツが敵に回り、ライン君には酷く気の毒なことになってしまいました。
ボルラス許すまじ!ですね。”金狼の牙”達としても、決してこのままにはできないでしょう。
ジーニの使う≪死霊術士の杖≫は、このシナリオと関係ないのですが、死霊術の禁呪やら生きてる人間のアンデッド化やら、非常に面白い要素がてんこ盛りだった為、杖が反応したということにしてみました。
今のところ、彼女に死霊術を習わせる予定はないのですが、ひょっとしたらシナリオ次第で・・・?
当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。
待ち構えていたゾンビ達が襲い掛かってきた!!
「ワイトまでいます!気をつけて!」
≪氷心の指輪≫を使い、詠唱に集中するアウロラの注意が飛んだ。
ワイトはゾンビやスケルトンより上級のアンデッドで、人の生気を吸い取る特殊能力がある。
それを耳にして、あらかじめ地の精霊・ファハンを呼んでいたミナスは、さらに彼の眷属を召喚した。
ギルと精霊が傷つけたワイトを、アレクの新しい技である【召雷弾】が止めを刺す。
ジーニは、これ以上仲間が傷つかないようにと、【魔法の障壁】を唱えた。
多少の傷は入ったものの、重傷に陥る者もなく、無事彼らはゾンビ達を退けることができた。
ギルが額の汗を拭い、仲間たちに声を掛ける。
「ふう・・・。さあ、早く行こう」
洞窟を出るとまばゆい太陽光線が冒険者達の目に飛び込んできた。
すぐそこには無人の村が見える。
アウロラは痛ましげに村を見やったが、気を取り直して言った。
「とりあえず聖西教会に行って、事情を報告しましょう」
そうして、一行が村を抜け出した時。
「こいつらです!私が先程ご報告した怪しい連中というのは。おのれ抜け出したか!」
ローブを身にまとった老人に、慇懃無礼の見本のような声が応えた。
「ガルミッシュに呼ばれてこんな所に来てみれば、貴方がたでしたか・・・・・・」
「お前は・・・ボルラス!?生きていたのか!?」
ギルがその姿に驚きの声を上げる。

なぜなら、ボルラスを【暴風の轟刃】で倒したのは彼だったからだ。
見覚えのある風貌の死霊術士は、なんともいえないオーラを漂わせている。
その時、ジーニの持つ杖が微妙に震えた。
「何だというの・・・・・・?この男に反応している・・・?」
「おそらく、自分にアンデッド化する魔法をかけていたのでしょう」
ジーニの疑問を払拭するかのように、ラインが言う。聖戦士として戦ってきた中に、そういう禁呪の類があるのを知ったのだという。
「なるほどね・・・。この杖は、死霊術の禁呪に反応したんだわ」
対峙するボルラスは、己の周りにいるアンデッドを見渡して言う。
「ふむ、戦力が整っていない」
「ボルラス様、しかしまだこいつらを逃すわけには・・・・・・」
ローブの老人が言い募るのを、ボルラスが手をかざして遮り、冒険者達の方の一点に視線を固定した。
「・・・・・・ん?フリッツか・・・・・・クックック・・・・・・よし」
ボルラスは何事か呪文を唱え始めた。
するとフリッツの顔が見る見る、死人のそれになって行く!!
「なっ!?フリッツ!!」
ボルラスと同じオーラを漂わせたフリッツが敵陣に加わるのを見て、ラインが驚愕の声を上げる。
「・・・・・・・・・・・・・・」
フリッツは何も応えない。
エディンが、銀の細剣を抜きながら舌打ちした。
「フリッツにアンデッド化する呪文をかけていたのか!!」
「それでは頼みましたよ。クックック・・・・・・」
「畜生、待てボルラス!!」
ギルの叫びもむなしくボルラスが【帰還の法】を唱えて去っていき、残された老人は新たな戦力をもって冒険者達に向き直った。
「死ぬがよい!」
まだ先の戦いの負傷が癒えないまま入った戦闘は、初っ端からアレクが重傷、ミナスも重傷一歩手前までに追い込まれた。
しかし、すかさず【光のつぶて】をフリッツゾンビに打ち終わったアウロラが、今度は【癒身の法】をアレクに唱える。
「よしいけ、ファハン!」
エディンがフェイントを掛けたためにできた隙を逃さず、ミナスの声に応じたファハンがガルミッシュを倒す。
そのミナスの傷は、ラインが【癒身の法】を唱えて癒した。
「すいません、皆さん・・・・・・フリッツの奴を、よろしくお願いします」
「・・・・・・ああ」
血を吐くようなラインの願いに、エディンがワイトの爪を細剣で防ぎながら頷く。
そして、髑髏のついた杖を振り上げ【火炎の壁】を唱えたジーニは、気の強い眼でフリッツだったゾンビを見やった。
「悪いわね、フリッツ。短い間だったけどさよなら」
「ぐはっ!!」

炎は、死体を焼き払った・・・・・・・・・。
「フリッツ・・・・・・・・・」
ラインの呟きを、風がさらっていった。
一行は聖西教会に行き事情を説明。
近いうちにゾンビの巣窟と化したアラン村に軍勢を派遣する事が決定したらしい・・・・・・。
一行は協力を約束すると帰路についた・・・・・・。
「そうですか・・・・・・フリッツが・・・・・・」
教会で待ち焦がれていたレンフ司祭は、冒険者達の報告に驚き、そして聖戦士たちの最期に嘆息した。
「しかしよくやってくれました。これは報酬です」
800spの報酬を得た”金狼の牙”たちは、ラインに別れを告げた。
「それではアラン村の件、準備が整い次第狼の隠れ家の方にお知らせいたします。その時はまた宜しくお願いします」
「では私達はこれで失礼させて頂きます」
ジーニの挨拶を皮切りに、一行は宿へ帰っていった。
※収入800sp※
--------------------------------------------------------
■後書きまたは言い訳
15回目のお仕事は、マットさん&ジン太さんの血塗られた村(密売組織第二話)です。
こちらは、一話と違ってマットさんは概略を担当なさり、ジン太さんが製作されたそうです。
同輩のフリッツが敵に回り、ライン君には酷く気の毒なことになってしまいました。
ボルラス許すまじ!ですね。”金狼の牙”達としても、決してこのままにはできないでしょう。
ジーニの使う≪死霊術士の杖≫は、このシナリオと関係ないのですが、死霊術の禁呪やら生きてる人間のアンデッド化やら、非常に面白い要素がてんこ盛りだった為、杖が反応したということにしてみました。
今のところ、彼女に死霊術を習わせる予定はないのですが、ひょっとしたらシナリオ次第で・・・?
当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。