オルドリノの愛し猫 その3

 街中に残存する物資があるかも――勝算を練る冒険者たちに、オルドリノはそう助言してから、彼らの一部を自身が過ごしてきた主人のアトリエへ案内した。そこは地下道に繋がる部屋であり、芸術家のオルドリノが執事を生み出した場所でもある。
 工房の心臓たる機械文明を利用した竈、何に使うのか知れない薄い硝子の筒、魔法などを込めるのに使う白紙のカード、空っぽのバケツに、切ることも突くこともままならぬ古びた剣……。

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オルドリノの愛し猫 その2

 ――結論から言えば、猫は何者かの意を受けていたのか、冒険者たちへ帰るように促しに来たようであったが、それを断られると、彼らをタブロアートの中枢とも呼べる場所に案内してくれた。
 これが『火を抱く猫』の独自の判断によるものなのか、それとも帰らない客をここへ案内するよう予め登録されていたものなのか、一行には分からなかった。
 だが、空の不穏な赤い光が斜めに差し込む書斎は、高度な知識を有する人物の部屋であることが明白で、魔術師学連所属であるカノンや、21世紀の日本の学校図書館を覚えているフタバにも、大した質と量の蔵書だと感じられた。

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オルドリノの愛し猫 その1

 オレンジ色と赤色の混ざり合う複雑な光が、ちょっとずつ地平線に近づいている。
 身を寄せるための岩肌も木陰もなく、ただただ寂寞とした荒野に近い光景が広がっていた。
 歩いていた6人――いや、1人は飛んでいるので5人か――の先頭を歩いていた人影が止まる。
 
「ああー、ダメだ、日が暮れちまう!」
「今夜は野宿ね……」

 ヤケクソのようにフレッドが叫んだところで、フタバが何かを達観した顔で応じた。

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