Wed.

見知らぬ仲間その5  

 迷宮と化した、いくつかの小部屋に分かれた地下室――。
 無意味な行き止まりや、力任せに崩されたと思しき壁――。
 それらを目にする前から、ここに住まう”獣”の異質さや危険性は感じていたはずだったのだ。
 だが、推測はただ推測でしかない。

「何だってんだ、この咆哮とプレッシャーは……!」

 こちらへと一心不乱に向かってくる”獣”の気配に、ロンドの皮膚が粟立っていた。
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2018/03/07 19:12 [edit]

category: 見知らぬ仲間

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Wed.

見知らぬ仲間その4  

 旗を掲げる爪が辿り着いた部屋で見たのは、散らかった薬草、樽、干からびている食べ物と――既に白骨化し、風化しかけた人間の死体。
 そしてその奥にある、不気味な魔方陣だった。
 明らかに生活感のあるその光景に、6人は一瞬面食らったが、

「……調査してみますか」

というウィルバーの至極冷静な一言に、全員が同意した。
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2018/03/07 18:49 [edit]

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Wed.

見知らぬ仲間その3  

 入り口で見る限り、遺跡の床や壁に使われている石材は、元は明るい砂色だったのだろう。
 それが今や、奥に行くにつれ、年月の経過や近くにある湖による湿気などの要因により、くすんだ灰色や苔の緑色が大半になっている。
 おまけに、立ち入る者のいない建築物の多くがそうであるように、埃が積もっており、進むのに支障はないものの、生き物の粘膜を小さく不快に刺激する。
 用心に用心を重ねて調査をしているアンジェだが、罠や敵の気配の少なさに眉を顰めた。
 魔法使い2人の言によれば、ここには今までにない強大な敵が――それも、シシリーの死のカウントダウンに関係のある奴がいるはずなのに、一向にその片鱗すら見えない。
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2018/03/07 18:47 [edit]

category: 見知らぬ仲間

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Wed.

見知らぬ仲間その2  

 細い道は、うっそうとした森の中へ続いている。道といっても獣道だ。
 シシリーやミカの腰くらいまで元気に伸びる葉もあれば、羊歯のようにあまり太陽の光を浴びずとも生きていかれる植物も、一行の足首あたりに茂っている。
 頭上の木々の葉が作り出す陰影により、ひんやりした心地良さが肌に感じられた。
 足元にはぬかるみもなく、パーティはひたすら霧がないと推測した北へ向かい、移動している。

「罠も敵の気配、共になし。進んで来ていいよ」
「うむ」

 先頭を歩いているアンジェの台詞に、ナイトが肯定の相槌を打つ。
 彼の黒い鎧の表面を、葉から落ちた雫が音もなく伝った。 

「昨日からおかしいな、とは思ってたんだけどさ。何にもいないよね。大妖魔の森みたい」

 顔に掛かる草を手で押し返したアンジェが、そっと息を吐きながら呟く。
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2018/03/07 18:44 [edit]

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Wed.

見知らぬ仲間その1  

 アンジェは、普段なら小悪魔めいた可愛らしい笑みを閃かせる唇を、緊張のあまり一文字に引き結び、強い意志を込めて目前の魔術師を見上げた。
 彼女の前に立っているのは、孤児院時代からの知人でもあり、ここ2年近くの冒険者生活において替え難い仲間となったウィルバーだ。

「待ち伏せとはいい趣味ではありませんが……どうしました?アンジェ」
「おっちゃん……少し、話があるんだ」

 2人が佇んでいるのは、手入れの行き届いた由緒ある館の、ゲストルームに続く階段の傍である。
 そう――旗を掲げる爪の面々が今いるのは、リューンの老舗の冒険者の店である≪狼の隠れ家≫ではない。
 リューンから馬を使って5、6時間ほど北西に行ったところにあるアドマール領、その地を治める領主の館だった。

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2018/03/07 18:41 [edit]

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