再びパーティ会議後の霞を食っては…その5

 冒険者たちが予測したとおりに、大部屋の中央にはいくつかの”影”があった。

「ひい、ふう、みい、よお……ふむ」

 ナイトが指差して数えたとおり、”影”の総数は雑記帳の内容と違わずそこにある。
 とすれば――決して他方向への警戒を解いてよいわけではないが――これで、より多くの注意を前方へと傾けることは出来る。
 彼らが目を凝らした結果、明らかになった”影”の正体はやはり。

「噂のビホルダーちゃん見参……ってわけか」

 アンジェがほとほと疲れた様子でぼやく。

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再びパーティ会議後の霞を食っては…その4

 そこからのアンジェの働きときたら、狼の隠れ家で見せていただらけた姿とは雲泥の差であった。
 瞬間移動の魔法陣が発動する罠、魔法の矢が壁の隙間から発動する罠、カモフラージュした発射口から混乱ガスが噴出す罠……罠のひとつひとつが狡猾な場所に設置されており、嫌でも改良ビホルダーたちの冒険者を仕留めようという固い意志を感じさせる。
 行きがけには眼にしなかったこれらのトラップは、冒険者たちが地下深くまで潜っている隙に設置したのか、もともと仕掛けられていたが、あえて発動しないようすることで冒険者の観察を逃れたのか……。
 どちらであるにしろ、より奥深くまで対象を誘い込もうという知能の高さが垣間見えた。

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再びパーティ会議後の霞を食っては…その3

 再びアンジェが足を止めたのは、旗を掲げる爪が地下五階まで下りて、廊下の突き当たりに赤く大きな扉を見つけた時だった。

「あれは――?」

 しばしその場で待機してくれるよう仲間に手で合図した彼女は、少々周辺を探ってから、まるまっちい指で石壁の一箇所を指し示した。
 そこには石と石の繋ぎ目に隠れるように、小さな穴が連なって空いている。
 ロンドはそれを見ただけでは意味が分からず、小首を傾げて問いかけた。

「……?あれがどうか――」
「まぁ、見てなよ。みんな、その場を動かないで――」

 言うが早いか アンジェはブーツの隠し場所からナイフを手品のように取り出し、それを閃かせた――と。

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再びパーティ会議後の霞を食っては…その2

 リューン、ムササビ通り――貴族をはじめとする富裕層が集うはずだった予定地は、現在、居住者が憐れになるほど少なく、更地の目立つ土地であった。
 中央公路につながる目抜き通りや大きな繁華街・歓楽街に対しての連絡が、他の高級住宅街に比べると悪く、また距離もかなりあるためだ。
 ムササビ通り6-4-10番地。
 手入れがされていない空き地で、茫々とのび放題の草がざわめいている。

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再びパーティ会議後の霞を食っては…その1

 狼の隠れ家――西方屈指の大都市、交易で栄えているリューンの片隅にひっそりと存在する、冒険者の店の中でもまずまず老舗に数え上げられる宿である。
 そこに所属する旗を掲げる爪は、聖北教会からの依頼により、緑の都ヴィスマール北方に位置する山地の端っこまで出かけ、最果ての魔女と呼ばれる大量殺人犯を討伐して戻ってきていた。
 教会からの依頼、ということで報酬にさほど期待はしていなかったのだが、魔女の遺物を好事家に売りつけたところ思いがけない臨時収入となり、しばらくはのんびり休養していたのである。
 ただ、冒険者稼業に精を出す輩と言うのは、とかく退屈が天敵となるようだ。

霞を食っては…


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