精霊の森に棲む魔性その4
テーゼンが”そこ”に踏み込んだ瞬間、翼の先に粘つく怖気が引っかかったような気がした。
ぴりりと奔る緊張に、わずかに白い美貌が歪む。
「……サブナク本人じゃねえようだが……こりゃ、手強いなんてもんじゃねえな」
捩じれて腐り果てた姿を晒す木々ばかりの、異様な場所である。
大地は汚泥と腐葉に塗れ、空気は濁っていた。
これまで何度か異次元の怪物等と対決したことはあるが、仮にも妖精と精霊が守る清浄な森を、見るも不快な空間に変えてしまうのは例がない。
後ろに控えている仲間たちに前進を指示し、彼がまた歩き始めると――ほどなく、一際目につく楢の大樹が現れた。
ぴりりと奔る緊張に、わずかに白い美貌が歪む。
「……サブナク本人じゃねえようだが……こりゃ、手強いなんてもんじゃねえな」
捩じれて腐り果てた姿を晒す木々ばかりの、異様な場所である。
大地は汚泥と腐葉に塗れ、空気は濁っていた。
これまで何度か異次元の怪物等と対決したことはあるが、仮にも妖精と精霊が守る清浄な森を、見るも不快な空間に変えてしまうのは例がない。
後ろに控えている仲間たちに前進を指示し、彼がまた歩き始めると――ほどなく、一際目につく楢の大樹が現れた。