永遠そして朝まだき後の山賊駆除その3

 リューン北東、ラウンゲル山中――。
 シシリーに罠を仕掛けた故買屋からの仕事で、テーゼンの姿はそこにあった。
 故買屋と太いパイプで繋がっているというある商人が、強い冒険者を求めていたために、故買屋側が多額の紹介料を商人から貰って、この一件を彼に押し付けてきたのである。
 聖北の神に仕えるシシリーの手前もあり「汚い仕事じゃない」と言っておいたが、実際、内容は山賊退治なのだから、一応冒険者の範囲内の仕事だと主張できるだろう。

(少なくとも、ギルドの脱走者の始末や、お偉いさんの暗殺よりは事実を話しやすいな)

 ただ、さすがに妖精のムルはロンドに預けてきている。
 この仕事は自分でやり遂げたい――そういう意思の表れだった。
山賊駆除

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永遠そして朝まだき後の山賊駆除その2

 シシリーは、”親”というものを持たない子どもだった。
 ロンドのように幼い頃親から連れて来られたわけでも、アンジェのように旅の途中だった親から院長へ預けられたわけでもなく、ただぽつんと孤児院の門前に、いつの間にか捨てられた子どもであった。
 だから、”親”がどういうものなのか思い出すこともなければ、他者から親の話を聞くこともなかったのである。
 自分のルーツを持たない彼女が、家族を孤児院の仲間たちへ、そして今はパーティを組んでいる冒険者たちへ見出したのも無理はなかった。
 本人は気付いていないのだが、愛情や恋情によって他者と家族になる関係を、後から理屈をつけながら忌避している一因はここにある。
 もし自分で家族を新たに作ってしまったら――血の繋がりのない、今まで家族”同然”だった孤児院の仲間たちと、離れてしまうのではないかという懸念である。

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永遠そして朝まだき後の山賊駆除その1

 月は悠然と空にかかっている。
 常宿の部屋から忽然とロンドが姿を消した事件から、3日ほど経ったある日の夜だった。
 早寝早起きの習慣がついているシシリーにしては珍しく、夜が更ける時刻になっても目が冴えているために自室に戻ることをせず、未だ1階の酒場に留まっている。
 給仕娘のリジーはとうに寝床に入っており、あてどなくエールの杯を傾ける彼女の相手は宿の亭主が勤めていたが、彼も他の客を放っておくわけにはいかず、カウンターから離れる見慣れたハゲ頭を見つめながら揚げじゃがを摘んだ。
 ちびりちびりと木製のジョッキからエールを舐める。
 ふと窓の外から入り込む月光に気付き、とろりとした蜂蜜色の姿に見入った。

永遠そして

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