常夜の街その5
一日中、太陽の昇らない街――。
そんな寒々しさの中でずっと暮らしてきたその人にとって、”陽の光”などと言うものは、もはや物語の中のものに過ぎなかった。
今まで夢見てきた、あの城での生活のように――いや、それも、ローザがヴァルプスギス伯爵家に嫁ぐまでのことだった。
そんな寒々しさの中でずっと暮らしてきたその人にとって、”陽の光”などと言うものは、もはや物語の中のものに過ぎなかった。
今まで夢見てきた、あの城での生活のように――いや、それも、ローザがヴァルプスギス伯爵家に嫁ぐまでのことだった。