赤い花は三度咲くその6

 室内にいたのは、男とキメラが1人と一匹。
 そしてウィルバーにとっても、他の者たちに取っても既知である動く鎧。
 男はキメラを膝に抱き、その頭をあやすように撫でていた。

「ようこそ、冒険者諸君。大広間での実験、まことに実入りのあるものだった。感謝するよ」
「うちの魔術師殿をずいぶんといたぶってくれたわ。覚悟はできているわよね」

 しゃり、と≪Beginning≫を鞘から引き抜く音がする。

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赤い花は三度咲くその5

「……っはぁ!ざまあみろ!」

 ロンドが快哉を叫ぶ。
 コランダムが続けて彼らにぶつけてきた合成獣は、ウィルバーが≪魔力の腕輪≫を通じて動きを封じられるというアクシデントに見舞われながらも、天井にあった巨大なペンデュラムに繋がる鎖をアンジェが外して回ることで、罠に嵌めて退治することが出来た。
 もしかしたら、ロンドが弄ったあのレバーも関係していたのかもしれないとは、テアが後日になって述懐するところである。
 だが、今の彼らはとにかく勝利したことを喜んでいた。

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赤い花は三度咲くその4

「……ギベオン村の者か?」
「いつもの物を持ってきました」

 雨の降りしきる音が小さく聞こえる中、ウィルバーにナイトと名乗っていたリビングメイルは、フードを被った若者たちと相対していた。
 この砦には、定期的に村から食料が運び込まれている。
 ナイト自身には必要ないが、主が属している人間にとっては摂取が不可欠なものである。
 この取り決めを決めたのは魔術師・コランダムと村の権力者であり、彼らの間にどのような会話が交わされたのはナイトの知るところではない。
 ただ、この取り決めに従った運搬と対価の受け渡しが、滞りなくなされること――それを管理するのが、ナイトの役割であった。

「倉庫に入れたら、用意してあるものを持って去れ」
「ありがとうございます」

 命令を受けたフードの人物は、首を縮めるようにして荷物に手をかけた。

「……?待て、そこのお前」
「……!なんでしょう?」
「ただの村人にしては…………いや。良い。行け」

 ナイトが踵を返してその場から去ると、フードの人物は仲間に行こうと声をかけた。

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赤い花は三度咲くその3

 ウィルバーは鋭い観察眼を自分のいる室内に走らせた。
 窓には交差する鉄格子が張られており、その向こうには既に日の落ちた森が広がっている。
 そのせいか、ベッド脇には魔法による明かりがついたランプが置かれていた。
 視線を横にずらすと、灰色の石造りの壁は隙間風を完全に防いでくれているものの、冷え冷えとした印象を囚われ人に与えた。

「よっ、と……」

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赤い花は三度咲くその2

「はぁ、はぁ……っ!なんだ、これ……!」

 ロンドは戦いの激しさではなく、異様な産まれ方をした敵の様子に肩で息をつく。
 女性の腹部から出てきた朱の塊は、冒険者たちに襲い掛かったものの返り討ちになり、ただの肉塊として彼らの足元に横たわっていた。
 女性の体はもはやピクリとも動かず、柘榴のように破裂した子宮を寝台の上に晒している。
 シシリーは既に彼女の息がないことを確かめ、悼むように十字を切った後、そっと恐怖と痛みに見開いたままの目を閉じた。

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