時の囚われ人その4

 十字路から地下への階段を下りながらシェトと話をしていたところ、彼女は4つの呪文を使いこなすことができるらしい。
 もっとも、魔法使いにとっての基礎攻撃呪文の一つと言える【魔法の矢】に関しては不得手であり、【癒身の法】や【土精召喚】を使うほうが多いかもしれないとのことである。
 途中で洞窟を潜り抜け、なんとも艶かしい女神像を横に見ながら通り過ぎる。

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時の囚われ人その3

 シェトともう一度話し合うために階下を訪れた一行だったが、その際に呼びかけられた声に導かれ、あの巫女がいるはずの東の通路ではなく、北の通路を選んで向かって行った。
 突き当たりには、シェトがいた部屋の本棚のような家具らしきものは一切ない。
 ぼんやりと白く煙る人影が柱の間から現れ、シシリーがハッとなった。

「亡霊……!?」

 しかし、案外と朗らかでいたずらっぽい声で、人影は旗を掲げる爪へ呼びかけてくる。

「ああ、やっぱり!空気が動いたから、誰か来たんだってわかったのよ」

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時の囚われ人その2

 その場に佇んでいたのは、一見、シシリーとそう年齢の変わらない少女であった。
 セピア混じりの茶色い髪を不思議な形に結い上げ、琥珀か何かで作られたらしい髪飾りで纏めてある。
 砂漠の民にしては日に焼けていない肌は滑らかで、小さな卵形の顔は、清楚だがどこか人を寄せ付けない厳しさをも含んでいた。
 それと合わせて、暗い色合いの古風な衣装と、遺跡に溶け込むかのような雰囲気、あまりにも静かな立ち振る舞いが彼女を年不相応に見せている。
 古ぼけた本が並ぶ棚の前で黙って一行を見やる少女の、凪いだ湖面さながらの沈着さに、テアはややどもりながら誰何したが反応が返ってこない。

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時の囚われ人その1

「どうしようか。あと銀貨が400枚とちょっとしかない…」
「ちょっとって言うか、404枚しかない…」

 どよーんとした顔でパーティの共有財産用の財布を見ているのは、アンジェとロンドである。
 このたびの旗を掲げる爪たちの財政は、いつにないピンチを迎えていた。

時の囚われ人

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