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Mon.

熊が来た! 2  

「あった、あれだね」

 冒険者一行は、ミナスが指摘したコルバおばさんの家の前に辿り着いた。
 アレクはここで全員の顔を見渡す。

「手順は大丈夫か?」
「できるだけの補助魔法を、僕らがかけるんだよね?それで・・・・・・」
「俺たちが頑張って、網を母熊と仔熊一頭に集中狙いすると」

 ミナスとギルが口々に言うのに、アレクが頷いた。
 熊は、必ずしも仕留める必要はないのを村人に確認済みである。頭数、とくに危険性の高い母熊さえ抑えられれば、戦闘はぐっと楽なものになるはずなのだ。

「よし、そろそろいこう。呪文頼むぜ」

 ギルの合図で、アウロラ・ジーニ・ミナスが【祝福】【魔法の障壁】【蛙の迷彩】の補助魔法を、次々に唱えていく。
 うっすらと魔力に包まれた冒険者たちは、勇ましく猟師の家に飛び込んだ。

 アレクの目論見は当たり、最初の投げ網でまず母熊を確実に捕らえた一行は、続けてジーニの【眠りの雲】に眠らされた仔熊をそのままに、もう一頭の呪文に抵抗した仔熊へ攻撃を集中させた。

ScreenShot_20121026_085625984.png

 それはあっけないほど見事に決まり、最後の【魔法の矢】でトドメをさした事で、身動きできない残りの熊を安全に捕らえることができたのだった。

「ありがとうございます。お約束の300spですじゃ」
「はいよ。また何かあれば、狼の隠れ家って宿まで・・・・・・ん?」
「ギル、あっちから誰か来るよ。精霊たちが騒いでる」

 ロベールがギルに報酬の入った袋を渡した瞬間、村がにわかにあわただしくなる。
 そよ風の精霊や森の精霊からの耳打ちを受けたミナスが、ギルの左ひじの辺りを掴み、森の方を指さして言い募ると、そこから獲物を担いだ領主一行が戻ってきた。
 きらびやかな狩装束の一団に、元村長であるトマ老人が向かって、留守中の出来事を説明してくれたらしい。
 それを聞いた伯爵らしき白髭の男性が、傍らにいる金髪碧眼の若者になにやら耳打ちをすると、若者が冒険者たちの方へやってきた。

「あれは伯爵の八男、フランソワさまですな。貴族の若様も、末の方になると大変なようで・・・・・・おっと」

 ロベールが小声で冒険者たちに教えてくれたが、当の本人がもう近くまで来たのを見て、慌てて口を噤んだ。

「これこれ、そなたたち。少々相談したいことがあるのだが。すまぬが、ちょっと向こうで・・・・・・」

 伯爵の子息に、少なくとも後ろめたい様子は見られない。
 ついていってもとりあえず大丈夫だろう、と判断したギルは、目線で仲間に頷いてみせてから、先頭に立って歩き出した。

「熊狩りに出た留守に村を熊に襲われたとあっては、物笑いの種。父の面目に関わる。そこでだ・・・・・・」

 納屋の陰まできてフランソワという子息が切り出した話は、熊退治の手柄に関してだった。

「あの熊は村を襲わなかったと考えてもらいたい。”何か分からないもの”に家を荒らされた気の毒な猟師には、いくらかの見舞金を遣わそう」
「・・・・・・・・・ふむ」
「へえ、”森の中で退治された熊”の亡骸さえ村に下げ渡していただければ・・・・・・われら、何の異存もございません」

 冒険者と同じ場所まで連れてこられたロベールが、フランソワの強調した台詞に感づいて、村としての条件を伯爵側・冒険者側に分かるように念押しする。
 熊の亡骸を村に下賜することは伯爵側も同意を示したので、後は冒険者側の問題である。
 伯爵がやった熊狩りの手伝いで、熊を退治したことにして報奨金を別途に貰うか。
 それとも、あくまで自分たちの手柄を主張して名声を得るか。
 伯爵子息・フランソワは冒険者たちにぐっと顔を近づけ、笑みを浮かべながら囁く。

「・・・・・・どうせ村人どもは大した額は払っておるまい。どうじゃ、悪い話ではなかろう?」

 追加で提示された”報奨金”は1000spだった。
 フランソワの笑みは気に入らなかったが、コルバおばさんの家にも見舞金が出るのだし、ある意味で領主に恩を売る機会でもある。
 結局、アレクが最後まで渋ったものの、”報奨金”をジーニが1200spまで出させて、冒険者たちは手柄を売ったのであった。

ScreenShot_20121026_092135312.png

「なんてえんだろうな、この気持ち。ものすごい挫折感がするぜ・・・・・・。ああ、パーッと呑んじまいたいなあ・・・・・・」
「まあまあ。終わり良ければすべて良しですよ」
「アウロラって、たまに本当に尊敬する・・・・・・」

 その日、サンカンシオン村で一泊し、宴で熊汁を堪能した冒険者一行は、リューンへの帰途に着いた。

※収入300sp+1200sp※

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■後書きまたは言い訳
9回目のお仕事は、竹庵さんのシナリオで熊が来た!です。

シナリオタイトルどおり、小村に出没した熊がいて、それをたまたま居合わせた冒険者たちが退治するという話の筋なのですが、この村の人たち(といっても、接するのは5人だけですが)が、妙にキャラが濃くて面白い。
竹庵さんは、ReadMeの中でクロスオーバー等は著作権の誤解のない限り歓迎する、とお書きになっておられるので、この面白い村がまた誰かの作品にちらっとでも出てきたらいいなあ、と思っています。

退治してやれやれ、と思ったら後になって出てくる伯爵親子とのやり取りもあり、「金を取るか名誉を取るか」と、結構考え込まされたシナリオでした。

当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。

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2012/11/12 15:34 [edit]

category: 熊が来た!

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Mon.

熊が来た! 1  

 セランス東部、コセンソール地方。
 小高い山々が穏やかに連なる、のどかな土地である。

「いやー。ベルサレッジの盗賊団には、参ったよな」
「あんなに的確な指示を出せるなんて・・・彼も、真っ当な職にあれば、もっと素晴らしい人生だったでしょうにね」
「おい、リーダー。あれ」

 冒険者一行は、要港都市ベルサレッジで、盗賊退治の依頼を片付けた帰りだった。
 ギルとアウロラが依頼の感想を言い合っていると、先を歩いていたエディンが振り返って、山あいの小さな村を指差した。

「なんだ、あの騒ぎは」

ScreenShot_20121026_081444812.png

 ギルが呟くのも道理、村の教会堂の前の広場では、テーブルや長椅子がひっくり返り、村人たちが右往左往しながら騒いでいる。
 冒険者一行が得物に手を添えたその時、一人の少女が彼らの姿に気づき、駆け寄ってきた。
 年のころはまだ十代前半といったところか。波打つ褐色の髪を短くした、丸顔の賢そうな娘である。

「冒険者の方たちとお見受けします。ちょっとした厄介事が起きまして。とりあえず村の教会堂へお越し願えませんでしょうか」
「・・・いいぜ、厄介事は俺たちの飯の種だ」

 興奮した村人でごった返す教会堂の奥。
 説法壇の周りには、村の頭立った人々が集まっていた。
 この教会堂の主であるピコネリ司祭が、まず口火を切って説明を始める。

「この近在では、秋口から熊が頻々と人里に出没するようになりましてね・・・・・・」

 何でも、熊狩りを思いついた領主が村の若い連中を勢子として連れて行った留守に、親子連れの熊が村に現れたのだという。
 村に残っていた人々は、老人や病人や子供を連れて、どうにか教会堂まで避難してきたとのこと。
 熊は今、村の中央を流れる小川の向こう側の民家の一軒に上がりこんでいる。

「・・・・・・いやまったく、クマっているのです」

 司祭の言葉に、秋よりもむしろ冬にふさわしい冷たい空気が流れた。
 村人たちの反応を見るに、司祭は日頃からこの調子なのだろう。
 気を取り直したように、司祭の隣に座っていた、お団子頭のふくよかな女性が言った。

「熊が上がり込んだの、ウチなのよ。ホントに困るわ。あんたたち、冒険者なんだって?なんとかならないかい?」
「そりゃあ、一般の人が手を出すよりは確かだろうが」
「それを頼むのなら、仕事ってことにさせてもらうけどいいの?」

 エディンが苦笑しながら頭をかく横で、ジーニが報酬のことについて言及する。
 二人の冒険者の反応を見て、慌てて元村長という老人が、お団子頭の女性の言葉を撤回させようと自分の主張を始めた。

「いや待て、領主さまのお帰りを待ったほうがええ」
「あのタマ無し領主に熊をくれてやることはない。そもそもがあのお人は・・・・・・」

 それを機に、村人はてんでに喋りだして収拾がつかなくなった。
 領主の噂話で盛り上がるのは結構だが、熊の話はどこへ行ったのだ。
 司祭が人をまとめるのに慣れているせいか、とりあえず周りを落ち着かせ・・・ようとして、コネタを喋ろうと隙を狙う。
 大人たちの呆れた醜態を見かねたらしく、冒険者一行をここに連れてきた少女――ミシェルが、この場を仕切り始めた。

「ごめんなさい冒険者さん。質問は私が承ります」
「・・・・・・お前も、若いのに苦労してるんだな」

 ため息をひとつついたアレクが、要領よく村や領主、熊のことについて質問をまとめた。
 それによると、この村はサンカンシオン村といい、特に目覚しい産業があるわけでもない平凡な村らしい。
 普段なら大騒ぎにはならない熊の出現だが、司祭の言っていたような事情――ブルイエ城に住む領主は、温厚だが思いつきで行動することが多いようだ――があり、人手がまったくない状態なのだ。

「熊は三頭か・・・・・・」
「ウチの子が家の中に居なかったのが幸いだけどね。慌てて近くにあった鍋ひっつかんでガンガン叩きながら”熊が来た!”って触れて廻ったわけさ。もう大騒ぎだね。隣の婆さんなんてそりゃあすごい勢いで飛び出して」
「・・・・・・かいつまんで言うと、3頭のうち大きな1頭が母熊、あとの2頭は仔熊と思われます」

 猟師の女房だというコルバおばさんの長広舌を遮って、ミシェルが言う。
 普通のツキノワグマだというから、妙な妖魔を相手取るよりは楽かもしれないが、まだ新米の粋を出ない彼らにとっては油断できない。
 待っていれば騎士団の派遣もあるだろうが、村として貴重な熊の毛皮や肉を領主側に持って行かれるのは惜しい、という裏事情もあるが故の仕事の依頼だった。

「わが村はご覧のとおりの貧しい村・・・・・・逆立ちしても150sp程度しか報酬は出せんでの」
「えー・・・・・・それっぽちで熊退治をさせるつもり?昼寝しているほうがマシね」

 愛用の杖ごと腕組みをしたジーニが、鼻を鳴らしてぴしゃりと言うと、ミシェルの祖父ロベールが広い額に汗を滲ませつつ、報酬を値上げた。

「ジーニさんと見込んで特別ですじゃ。300spでどうか手を打ってくだされ。この通りですじゃ」
「最初の提示額の2倍か」
「ってことだけど、どう?ギル」

 エディンとジーニが、口の端を上げて自分たちのリーダーを振り返る。

「よし、その条件でやらせてもらうか」
「ありがとうございますじゃ。よろしくお頼み申しますでの」

 冒険者一行がその場に立ち上がると、コルバおばさんが「そうだ、網を見つけたんだけど」と、熊退治に貸与を申し出てくれたので、ありがたく網を借用することにした。

2012/11/12 15:17 [edit]

category: 熊が来た!

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